こんにちは、薬剤師歴20年以上・2児のママ、ママ薬剤師M子です。40代に入った頃から、
「なんとなくだるい」
「気分が安定しない」
「急に疲れやすくなった」
「前より冷えや頭痛がつらい」
そんな不調を感じることが増えてきました。
更年期という言葉は知っていても、

「病院へ行くほどなのかな?」
「年齢のせい?」
「気合いで乗り切るしかない?」
と、なんとなく我慢してしまう方も多いですよね。
実はM子自身もそうでした。薬剤師なのに、何度も「これ更年期?」「漢方飲んだほうがいい?」と検索していました。
婦人科では、更年期症状に対してホルモン治療だけでなく、漢方薬が使われることも多いです。
今回はその中でも、婦人科で特によく使われる、「女性3大漢方」と呼ばれる漢方薬について、できるだけわかりやすく整理してみます。
詳しい飲み分けや体験談については、今後またそれぞれ深掘りしていきますね。
- 更年期では漢方が使われることも多い
- 有名なのは「女性3大漢方」
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 体質や症状によって合う漢方は異なる
- 漢方は「体全体が整う感じ」が出ることもある
更年期の不調に漢方が使われる理由
更年期はとくに、女性ホルモンの変化だけでなく、加齢、ストレス、睡眠不足、家事や育児の負担、仕事との両立など、いろいろな要因が重なって不調が出やすい時期でもあります。
症状も本当にさまざまで、「イライラ、不安感、頭痛、冷え、のぼせ、めまい、月経不順、疲労感など、「どこが悪い」と一言で説明しにくいことも多い」です。
そんな時に使われることが多いお薬の一つが、漢方薬です。
西洋薬は「頭痛を抑える」「不安を和らげる」など、症状にピンポイントで効くものが多いですが、漢方薬は体全体のバランスを整えるという考え方で使われることが多いです。

漢方って、効くときは「頭痛だけ良くなった」ではなく、「なんか全体的にラク…!」みたいな感覚があるんですよね。
もちろん合う・合わないはありますが、そこが漢方の面白いところだなと感じています。
女性3大漢方とは?
婦人科でよく使われる代表的な漢方薬は以下の3つ(女性3大漢方)です。ちなみに、3大漢方といっていますが、日本産婦人科医会では、「更年期障害に対する漢方医療」として、3大処方(参考1)として紹介しています。(精神安定作用のある漢方三選もありますが、それは別途紹介いたします)
| 漢方薬 | こんな症状に | タイプのイメージ |
|---|---|---|
| 当帰芍薬散 | 冷え・貧血・むくみ | 弱り気味タイプ |
| 加味逍遙散 | イライラ・不安・情緒不安定 | ストレス更年期タイプ |
| 桂枝茯苓丸 | のぼせ・肩こり・頭痛 | 巡り停滞タイプ |


実際には「証(しょう)」という体質や状態を見ながら選ぶことで、適切な効果が現れやすいとされています。
漢方でよく出てくる「巡り」って?
漢方の世界では、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という考え方がよく出てきます。そして、私たちの体は、この「気・血・水」という3つの要素が体を巡ることで健康が保たれていると考えられています。そして、気・血・水は漢方医学上の考え方で、西洋医学でいう神経、血液、体液とそのまま同じものではありません。
とくに女性の漢方でよく出てくる巡りの不調のタイプを挙げてみます。女性はホルモン変動の影響もあり、この「巡り」のバランスが崩れやすいと言われています。今回は難しく考えず、ざっくり次のようにイメージしてみてください。
- 気滞(きたい):ストレス詰まりタイプ
- 血虚(けっきょ):栄養不足気味
- 瘀血(おけつ):血流停滞タイプ

次に、三大漢方を簡単に説明しますね。詳細は次回以降にお伝えしますので、併せてお読みいただければ嬉しいです。(参考2)(参考3)(参考4)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散は、冷えやすい、貧血気味、むくみやすい、疲れやすい方に使われることが多い漢方です。
比較的、体力があまりない方向けと言われています。色白で冷えやすい方に合いやすいことも多いです。

M子は、体力ない方、色白め、冷え症で、なんとなく疲れがとれとれず、だるい日が続いたときなどに婦人科を受診するとよく処方していただきます。
とくに不調時は当帰芍薬散を体が必要としているのか、味や香りがとても心地良く感じます。そして、M子の感覚ですが、止まっていた?溜まっていた?ものが少し動き始める感覚を感じて調子が戻ることが多いです。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
加味逍遙散は、更年期症状に用いられる漢方の中でもかなり有名なお薬です。
イライラ、不安感、気分の落ち込み、情緒不安定、のぼせ、頭痛など、ストレスが関係して悪化しやすい不調によく使われます。

「最近、自分でも感情の波がつらい…」
そんな方に処方されることが多い印象です。

M子もお世話になったことがあります。とくに、睡眠不足が続いて不安感が強く出たり、少しのことでイライラしやすく、自分の感情がコントロールできないことが多くなった時に救いをもとめて受診し、先生が処方してくださいました。少しずつ情緒が落ち着き、「助かったー」と思った覚えがあります。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
桂枝茯苓丸は、のぼせ、肩こり、頭痛、月経痛、冷えのぼせなど、血流の滞りが関係する症状に使われることが多い漢方です。
女性三大漢方の中では、「唯一」比較的体力がある方向けとされています。
桂枝茯苓丸は、女性3大漢方の中では比較的体格がしっかりした方に用いられる処方です。一方で、胃の不快感や吐き気などが現れることもあります。著しく体力が衰えている方では、副作用が現れやすく、症状が強くなることもありますので要注意です。

桂枝茯苓丸は、M子は処方されたことはありません。肩こりや頭痛がひどい時、桂枝茯苓丸を試してみたいと思ったことはありますが、おそらく、M子は「体力ない方、胃腸弱め」なので、証に合わず先生も選択されなかったのかなと思っています。
漢方は「自然だから絶対安全」ではない
漢方は自然由来の生薬からできていますが、自然=副作用ゼロではありません。
体質に合わないと、胃の不快感、発疹、だるさなどが出ることもあります。また、一部の生薬では注意が必要な副作用も知られています。

別の漢方薬や市販薬を一緒に使うと、同じ生薬が重複することがあります。特に加味逍遙散には甘草と山梔子が含まれているため、長期服用やほかの漢方薬との併用には注意が必要です。詳しくは山梔子の記事で解説します。
「飲んでいて逆につらい」と感じた時には、一旦中止して、医師や薬剤師に相談してください。
M子自身の体験
M子は、「血虚」と「瘀血」両方ありそうなのですが、どちらかというと冷え・疲れやすさが強く、飲んでみると、当帰芍薬散がとても合うタイプでした。
以前、月経不順が続いた時、「なんか当帰芍薬散飲みたい…」と急に思ったことがありました。
飲み始めると体調が少しずつ整い、逆に良くなってくると「飲みたい感覚」が減っていきました。
昔、漢方に詳しい先輩薬剤師から、「漢方を飲みたくないと感じたら、それは終了の合図かもしれないね」と言われたことがあり、その言葉を思い出しました。
(漢方は医薬品であり、医師の指示通り服用する必要がありますが、あくまでM子の経験談なので誰にでも当てはまるものではありません)
もちろん、治療として処方されている場合は自己判断で中止してはいけません。

漢方って、「今の自分の状態に合うかどうか」が本当に大事なんだなと感じています。
さいごのまとめ
更年期のみならず、女性特有の不調は、人によって本当に症状が違います。
だからこそ、冷えが強いタイプ、イライラが強いタイプ、巡りが悪いタイプなど、その人に合った漢方を選ぶことで、体がラクになることがあります。
もちろん、漢方にも体質によって合う・合わないがあったり、成分や添加物に対しても合う合わないがあるので、飲んでみないとわからないことも多いです。
でも、「なんとなく不調が続いている」「病院へ行くほどかわからない」そんな時に、漢方が選択肢の一つになることもあるかもしれません。
次回は、婦人科で使われる漢方薬について、注意したい構成生薬などを中心にまとめてみたいと思っています。
今、更年期などの不調で悩んでいる方の気持ちが、少しでも軽くなりますように。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】- 日本産婦人科医会の定義による[↩]
- 薬局 婦人科・産科・女性医療のくすり[↩]
- 南山堂 レシピ+ Vol.25 No.1[↩]
- 日本文芸社 生薬と漢方薬の事典[↩]


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