防風通聖散のメーカー別の違いについてママ薬剤師M子が解説します!

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こんにちは、ママ薬剤師M子です。前回、防風通聖散が18種類もの生薬からできていることや、複数のメーカーから販売されていることをお伝えしました。

悩むM子
悩むM子

病院で処方される漢方薬は「同じ名前でも、メーカーで少し性格が違う」ことがあります。今回は、メーカーごとの違いについてお伝えしていきたいと思います。ちょっとマニアックですが、実際に使い分けられている医師に出会ったこともありましたので、参考にしたい方は読んでみてくださいね。

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日本薬局方による防風通聖散の製法

まずは、防風通聖散の配合レシピを規定している、日本薬局方(参考1)の記載についてご紹介します。

日本薬局方は、日本で販売されている医薬品の規格書です。医薬品の「防風通聖散」は9つの製薬会社が販売していますが、生薬の配合比率が異なるため6パターンもあります。

説明するM子
説明するM子

使っている生薬は同じで配合比率が異なりますが、すべて「防風通聖散」です。

生薬名 パターン1パターン2パターン3パターン4パターン5パターン6
当帰 1.21.21.21.21.21.2
芍薬 1.21.21.21.21.21.2
川芎 1.21.21.21.21.21.2
山梔子 1.21.21.21.21.21.2
連翹 1.21.21.21.21.21.2
薄荷 1.21.21.21.21.21.2
生姜0.30.30.40.41.20.3
荊芥1.21.21.21.21.21.2
防風1.21.21.21.21.2-
浜防風-----1.2
麻黄1.21.21.21.21.21.2
大黄1.51.51.51.51.51.5
芒硝-1.5-1.5--
無水芒硝0.7-0.75-1.50.75
白朮2.02.02.02.02.02.0
桔梗2.02.02.02.02.02.0
黄芩2.02.02.02.02.02.0
甘草2.02.02.02.02.02.0
石膏2.02.02.02.02.02.0
滑石3.03.03.03.03.03.0
採用している製薬会社
ツムラ(参考2)、オースギ(参考3)、コタロー(参考4)
JPS(参考5)クラシエ(参考6)本草(参考7)太虎堂(参考8)、東洋薬行(参考9)三和(参考10)

日本薬局方で「どちらを使ってもよい」とされている生薬

防風通聖散では、上にあげた生薬のリストのなかに「 防風(ボウフウ)」と「芒硝(ボウショウ)」がありますが、こちらは「浜防風(ハマボウフウ)」または「無水芒硝(ムスイボウショウ)」に置き換えてよいとなっています。

たとえば、三和(S-26)は、浜防風を追加生薬として使用していることが添付文書に明記されています。

浜防風と芒硝についてのワンポイント

防風はもともと生薬として使われていましたが、日本に自生していなかったため江戸時代から日本に自生している香りが似ている浜防風の根で代用してきたのが起源だそうです。

なので、名前は似ていて同じセリ科ですが、茎や花の見た目、効能等にも違いがあります。防風は浜防風よりも感冒に対する解表作用(病気の原因を発汗などにより排除する作用)が効果が高い、対して浜防風は防風よりも、肺や胃の働きを助けてうるおす作用があるので、空咳(からせき)や消化不良などを伴う場合に効果がより得られやすいそうです。(参考11)

芒硝と無水芒硝の違いについても気になるところですよね。芒硝と、無水芒硝の芒硝自体は、同じ、硫酸ナトリウム(Na2SO4)という化合物のことです。自然界にあるのは、水分子(H2O)がくっついた形の芒硝です。ただし生薬として期待する効果はどちらも、排便を促すという自然界の芒硝の効果を期待しており、どちらが効果が高い等と比較するものではなさそうです。


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防風通聖散のメーカー別効果効能記載は2種類あります

実は、医療用の防風通聖散は添付文書の効能効果が2パターンあります。


■A群(多くのメーカーはこちら)

腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの諸症状:
肥満症、むくみ、便秘、肩こり、のぼせ、高血圧の随伴症状など。

該当メーカー:
ツムラ、クラシエ、オースギ、本草、JPS、東洋 など


■B群(A群と効果効能記載が一部異なる)

脂肪ぶとりで便秘し、尿量減少するもの。
常習便秘、胃酸過多症、高血圧、動脈硬化など。

該当メーカー:
コタロー、三和

M薬剤師
M薬剤師

記載は異なりますが、基本的な肥満症、高血圧などにはどれも効果効能が共通してあります。

メーカー別の形状、匂いなどの比較

メーカー別の形状、匂いなどを添付文書からまとめてみました。

メーカー抽出量剤形外観味・香り生薬特徴添加物効能効果
ツムラ(62)4.5g顆粒黄褐色特異なにおい/わずかに甘くて特異病院で使われるスタンダード乳糖、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸MgA群
クラシエ(EKT-6)5.5g素錠黄褐色〜褐色ほとんどないか、わずかに特異なにおい/わずかに甘く、後に苦い医療用唯一の錠剤乳糖、カルメロースCa、軽質無水ケイ素、ステアリン酸Mg、結晶セルロースA群
コタロー(N62)6.0g細粒淡褐色~褐色特異なにおい/やや苦い抽出量が一番多い乳糖、プルラン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸Mg、メタケイ酸アルミン酸MgB群
三和(S-26)5.4g細粒黄褐色特異な香り/苦味ハマボウフウ使用乳糖、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、部分アルファー化デンプンB群
太虎堂(TM-62)5.4g顆粒黄褐色〜灰褐色特異なにおい/わずかに甘苦い–乳糖水和物、ステアリン酸MgA群
オースギ(SG-62)5.2g顆粒淡灰茶褐色〜淡灰黄褐色特異なにおい/はじめ甘く、後わずかに苦い–乳糖、トウモロコシデンプン、ステアリン酸MgA群
JPS(J-62)5.0g顆粒黄褐色特異な芳香/わずかに甘苦と苦み–乳糖、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸MgA群
本草(H62)5.0g顆粒淡黄褐色特異なにおい/初めわずかに甘く、後にやや苦い–乳糖、結晶セルロース、メタケイ酸AlMg、ステアリン酸MgA群
東洋(TY-100)【無乳糖】5.0g細粒褐色特異なにおい/わずかに苦い無乳糖トウモロコシデンプンA群
M子先生
M子先生

味に「特異」とあるのは、表現しにくいですが、人によりとらえ方が違う味のようです。甘味や酸味などとは異なり、黒烏龍茶や焦げた味のような・・などといろいろな表現をされるようです。漢方薬の場合、煎じて服用することも多いですので、実際に飲むとなるとどんな味か気になりますよね。

防風通聖散のメーカー別のまとめ

上の表で、メーカー別の添付文書をまとめましたが、大きな違いを以下にまとめてみました。

  • 抽出量が最も多いのはコタロー
  • 無乳糖なのは東洋
  • 生薬を追加しているのは三和
  • 効能効果B群はコタロー・三和
  • 顆粒/細粒/錠剤はメーカーで違う
M薬剤師
M薬剤師

M子的に気になったのが添加物です。漢方薬のエキス剤はほとんど茶色、灰色等の色なので、東洋さんを除いて乳糖がすべてに含まれているのに驚きました。乳糖不耐症の方は一定数いらっしゃるので、漢方を飲んだ後にお腹を下した場合には、生薬以外にも乳糖によるものも念頭に置く必要があるなと思いました。

しかし、医師の処方や薬局での在庫などから手に入らないことも多いので、ほかとの違いも理解しつつ、服用してみてください。


まとめ

防風通聖散は、どのメーカーでも日本薬局方に従って作られていて、構成生薬の種類は基本的に同じです。

そのうえで、それぞれに性格を持たせてある大まかな項目は、以下の4つ。

  • 抽出量
  • 添加物
  • 生薬原料の選択
  • 剤形(細粒/顆粒/錠剤)

今回は医療用のものを紹介していますが、多くのメーカーさんはOTCの製品も販売しています。そして、同じメーカーでもOTC用には添加物を含め異なる成分にしているものあります。もちろん様々な内容を確認した上でですが、変更が可能ならば、飲みやすさ、味、期待する効果なども含めて選択できるという、いろいろ知っていて損はない時代だなと思いました。

今回は防風通聖散のメーカー別の内容についてまとめてみました。次回以降は、「副作用と注意点」を詳しくまとめていきますね。
この記事が、誰かのお役に立ちますように。最後までお読みいただきありがとうございました。

ママ薬剤師M子🌿

【参考文献等】
  1. 第十八改正日本薬局方, p2048[↩]
  2. ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)添付文書[↩]
  3. オースギ防風通聖散エキスG[↩]
  4. コタロー防風通聖散エキス細粒[↩]
  5. JPS防風通聖散料エキス顆粒(調剤用)[↩]
  6. クラシエ防風通聖散エキス錠[↩]
  7. 本草防風通聖散エキス顆粒-M[↩]
  8. 太虎堂の防風通聖散エキス顆粒[↩]
  9. [東洋]防風通聖散エキス細粒[↩]
  10. 三和防風通聖散料エキス細粒[↩]
  11. 日本文芸社 生薬と漢方薬の事典[↩]
著者
この記事を書いた人
ママ薬剤師M子

★ママ薬剤師M子プロフィール★
・2児を育てるアラフォーのママ薬剤師です。

・薬学部修士課程を修了後、大学病院に7年間勤務。さまざまな診療科の処方に触れ、その後は大手調剤薬局や病院、クリニックの門前薬局などで、調剤、服薬指導、施設業務、OTC販売に携わってきました。

・現在は、これまでの経験を生かしながら、子どもの薬や、子育て中の自分自身に必要な薬・漢方について学びを深めています。

・このブログでは、薬剤師としての知識と母親としての経験をもとに、子どもとママの薬について、家庭での判断に役立つ情報をわかりやすく発信しています。

モットーは、「薬をうまく使って、もっと快適に。」

得意・好きな分野は、子どもの薬、ママの不調に使われる薬や漢方です。

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