防風通聖散の効果とは?体の巡りを整えて軽くする漢方をママ薬剤師M子がやさしく解説

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こんにちは、ママ薬剤師M子です。
今回は、漢方薬の中でもよく知られている「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」の効果と、
その中に含まれる生薬のはたらきについて解説します。

M薬剤師
M薬剤師

「防風通聖散」。最近ではOTCとしても販売されており、どこかで耳にされたことがある方も多いかもしれません。「風邪(ふうじゃ=病気の原因)を防ぎ、聖に通じるお薬」と、すごい名前のお薬ですね。M子は初めて名前を聞いたときにそう思いました。

病院でもよく処方される漢方薬の一つの、防風通聖散。
便秘、むくみ、肥満症、肩こり、のぼせなど、一見バラバラな症状に用いられますが、
実はどれも「体の巡りが滞っている状態」に関係しています。

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今回「防風通聖散」を書くことにした理由は・・・

防風通聖散を構成する生薬は、実はとても多いです。そして、その中に、効果が期待できる反面、特に注意しなければいけない生薬(麻黄、大黄、甘草、山梔子など)が連ねています。

また、防風通聖散に適した体質(漢方用語では「証」といいます)がありますので、そぐわない体質の方が飲むと体に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。

M薬剤師
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皮下脂肪が多い方に効果があるということで「太っている人みんなに効く」と勘違いしてしまい安易に自分で購入して飲んでしまっている方もいて、ここは危険だなと感じるところです。

このような理由から、防風通聖散を選ぶときに、防風通聖散の特徴や性質を理解した上で、自分の体質や症状と照らし合わせながら適切に選ぶことができるようにお手伝いできたらと思い、記事にしてみることにしました。

弁証については、別記事でご紹介していますので併せて確認してみてください。


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防風通聖散の効果とは?──体の「熱」「水」「老廃物」を外に出す

では、さっそくですが、防風通聖散の効果をひと言で言えば、体の中の余分な熱・水分・老廃物を外に出して巡りを整えることです。

ストレスや食生活の乱れ、加齢などによって「巡り」が悪くなると、体内に熱や老廃物がこもり、むくみや便秘、のぼせ、肩こりなどを引き起こしてしまうことがあります。
防風通聖散は、実に18種類もの生薬がチームのように働き、汗・尿・便を通して不要なものを排出し、体の巡りをスムーズにしてくれます。

つまり、「脂肪を直接燃やす薬」ではなく、体の流れを整えることで結果的に代謝を助ける漢方薬です。


向いている体質と合わない体質

防風通聖散の効果をしっかり感じるためには、体質との相性がとても大切です。
漢方ではこれを「証(しょう)」と呼びます。

向いている体質

  • 体力があり、皮下脂肪が多く、便秘がち
  • 顔が赤くのぼせやすい
  • 汗をかきやすい
  • 肩こり・動悸・むくみがある
M子先生
M子先生

「固太りタイプ」「代謝が滞っているけれど元気な人」に合いやすい漢方薬です。


合わない体質

  • 冷え性で疲れやすい
  • 下痢しやすい
  • 顔色が白く、むくみやすい
  • 食後にだるくなる
M子先生
M子先生

「冷え」「エネルギー不足」「水太りタイプ」の方は、防風通聖散の“出す力”が強すぎることがあります。
服用すると体がだるくなったり、お腹がゆるなりすぎることがあるため、注意が必要です。

防風通聖散は「巡る力」で整える薬です。出す力が残っている人には合いますが、出す力が足りないと逆に疲れてしまうことも。漢方は体質を見極めて使うことが大切です。


防風通聖散の効果を支える18種類の生薬

防風通聖散は、18種類もの生薬が組み合わされた漢方薬で、
この構成は日本薬局方(参考1)に基づき、どのメーカー(ツムラ・クラシエ・コタローなど)でも共通です。それぞれの生薬が異なる役割をもち、体の熱・水・老廃物を調整します。

効果効能の記載は少し異なりますが基本は同じです。そして、大きく以下の2種類に分かれます。

A:ツムラ(62、以下カッコ内は各製薬会社の製品コードを併記)・クラシエ(EKT-6)・オースギ(SG-62)・太虎堂(TM-62)・JPS(J-62)・本草(H62)・東洋(TY-100)

腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症
高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘

B:コタロー(N62)・三和(S-26)

脂肪ぶとりの体質で便秘し、尿量減少するもの。
常習便秘、胃酸過多症、腎臓病、心臓衰弱、動脈硬化、高血圧、脳溢血これらに伴う肩こり。

18種類の生薬を3つのグループに分けて、ご紹介します。


① 熱を発散して整える(発汗・代謝促進)

生薬主な働き
防風(ボウフウ)外からの刺激を防ぎ、頭痛や関節痛を改善
荊芥(ケイガイ)発汗を促し、風邪や鼻炎などの炎症を和らげる
麻黄(マオウ)強い発汗・利尿作用で体の滞りを解消
薄荷(ハッカ)清涼感でゆるやかに発汗し、気分も整える
M薬剤師
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こちらは主に体を温めて発汗を促し、肩こりや頭痛、のぼせ、むくみなど、体表の“熱の滞り”を整えます。名前の頭にある、外からの刺激を防ぐ「防風」や、冷却感で気分を整える「薄荷」などが代表です。


② 内側の熱と便秘を整える(排出・デトックス)

生薬主な働き
大黄(ダイオウ)便通を促し、炎症を鎮める
芒硝(ボウショウ)便を柔らかくして排出を助ける
石膏(セッコウ)熱を冷まし、水分を保つ
黄芩(オウゴン)熱を冷まし、上半身の炎症を抑える
M薬剤師
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こちらは主に便通を整え、内側にこもった熱を冷ますグループ。
大黄・芒硝は「出す」、石膏・黄芩は「冷ます」。
この2つの作用が合わさることで、体の中をクールダウンさせながらスッキリと整えます。


③ 巡りを整え、全体のバランスを支える(調整)

生薬主な働き
連翹(レンギョウ)炎症を鎮め、肌トラブルにも用いられる
桔梗(キキョウ)呼吸を整え、咳や痰を抑える
滑石(カッセキ)利尿作用でむくみを改善
山梔子(サンシシ)熱を冷まし、気持ちを落ち着ける(※長期連用注意)
芍薬(シャクヤク)筋肉をゆるめ、痛みを和らげる
当帰(トウキ)血を補い、血流を整える
川芎(センキュウ)血流を促進し、冷えを改善
白朮(ビャクジュツ)胃腸を助け、余分な水分を取り除く
生姜(ショウキョウ)胃腸を温め、消化を助ける
甘草(カンゾウ)他の生薬の働きを調和させる
M薬剤師
M薬剤師

最後のグループは、「冷ます」「補う」「整える」を同時に行い、体のリズムを保つグループです。
特に、芍薬や当帰は血流を整えてリラックスを促し、甘草は全体のバランスを調える“まとめ役”です。

防風通聖散のすごいところは、冷やす/温めるなど、一見真逆の性質を持つ生薬までが、絶妙なバランスで配合されていること。
だからこそ、全身をまるごと整える力があるんですね。


防風通聖散の効果を実感するまでの目安

防風通聖散は、西洋薬のような、30分で効いてくる~といったような即効性はありません。
しかし、体質に合えば1〜2週間ほどで便通やむくみの改善を感じられることが多いです。
逆に、冷え性タイプや疲労体質の方では、体への負担を感じやすいこともあります。

M子の意見
M子の意見

「効果が出ない」と感じたときは、効果云々というよりも、「その人の体質と作用の方向がずれている」ことが多いです。無理に続けず、医師や薬剤師に相談してみてくださいね。


防風通聖散の効果を高める生活のポイント

防風通聖散の効果を生かすためには、薬だけに頼らず「巡りをよくする生活」を意識することも、とても大切です。

  • 軽い運動を取り入れる:汗や血流、代謝が促進され、デトックスの働きがサポートされます。
  • 水分をしっかりとる:老廃物を尿で排出しやすくなります。
  • 油っこい食事を控える:体に熱や湿をためにくくなります。

この漢方は、「薬で整える」だけでなく、「体が整うきっかけをつくる」薬。
自分の体をいたわりながらも、出来ることをうまく取り入れつつ付き合うことが、最も効果的な使い方です。


医療用・市販薬に共通する防風通聖散の効果

ツムラ、クラシエ、コタローなど、複数のメーカーから販売されていますが、
どの製品も日本薬局方の基準に基づき、基本構成は共通しています。
つまり、「品質や効果の方向性は同じ」なんです。

それぞれの違いとしては、各メーカーごとに、抽出量や味、飲みやすさなどの工夫があり、
そのときの証や好みに合わせて処方されたり、OTCに関しては自分で選ぶこともできます。


まとめ:防風通聖散は“出す力”で整える漢方薬

防風通聖散は、18種類の生薬がそれぞれの役割を持ち寄って働く“チーム薬”。
麻黄・防風・荊芥・生姜が体の表面から熱を発散させ、
大黄・芒硝が排便を促し、
黄芩・山梔子・石膏・滑石が体内の熱を冷ます。

さらに、芍薬・川芎・白朮などが代謝を支え、リラックス効果で心身の調和を整えます。

「冷ます」「出す」「整える」が調和した、まさに“流れを取り戻す”漢方薬。
体質が合えば、体が軽くなり、代謝が整う実感が得られ組成です。

防風通聖散は単なるやせ薬ではなく、体の巡りを整えることで代謝を高めてくれるお薬です。

さらに、軽い運動をあわせることで、より自然な形で効果を高めることができます。

今後の記事では、「防風通聖散の副作用と注意点」「やせ薬との違い」についても詳しく解説します。

だれかの体と心が、少しでも整い、軽くなりますように。
ママ薬剤師M子🌿

【参考文献等】
  1. 第十八改正日本薬局方, p2048[]

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