こんにちは、薬剤師M子です。
M子がママになってから、子どものおむつかぶれで何かと亜鉛華単軟膏にお世話になることが増えました。
薬剤師として働いていた頃を思い返すと、「亜鉛華軟膏」と「亜鉛華単軟膏」は名前がよく似ていますよね。

正直、上の文字で何が違うか気づかれましたか?「亜鉛華」の後に「単」がついているか、いないかの違いです!(中身は解説していきますね)
慣れないうちは、「どっちがどっちだったっけ?」と毎回調べながら調剤していた覚えがあります。一度違いが分かっても、しばらく処方が出ないとまた忘れる……。M子にとって、意外と苦手な薬でした。
薬剤師としての業務でも、こんがらがることもあるのに、ママになって実際に子どもの皮膚に使うようになると、「どちらも酸化亜鉛なのに、なぜ2種類あるの?」という疑問は、処方されたママやパパにとっても分かりにくい点じゃないのかなと思うようになりました。
しかも、おむつかぶれは毎回同じ状態とは限りません。
今回は、亜鉛華軟膏・亜鉛華単軟膏について、
- どんな効果があるのか
- 亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏は何が違うのか
- ワセリンとは何が違うのか
- おむつかぶれではどう塗るのか
- 毎回きれいに落とす必要があるのか
- よくある質問
についてすっきり解説していきたいと思います。
亜鉛華軟膏っていったい何でしょう?
亜鉛華軟膏の主成分は酸化亜鉛です。
「亜鉛華」という聞き慣れない言葉がついていますが、亜鉛華は酸化亜鉛の別名です。

聞きなれない言葉には少し抵抗がありますよね。
亜鉛華軟膏には酸化亜鉛が約20%含まれており、皮膚を保護しながら、炎症を穏やかに抑えたり、分泌物を減らしたりする働きがあります。
一方、名前がよく似た亜鉛華「単」軟膏も主成分は酸化亜鉛ですが、一般的な製剤は酸化亜鉛10%です。
いずれも、ステロイドは含まれていません。
2つの大きな違いは、「酸化亜鉛の濃度」と「軟膏の土台である基剤」です。
| 亜鉛華軟膏 | 亜鉛華単軟膏 | |
|---|---|---|
| 主成分 | 酸化亜鉛 | 酸化亜鉛 |
| 濃度 | 約20% | 10% |
| 主な基剤 | 白色軟膏系 | 単軟膏 |
| 水分との関係 | 水分を取り込む性質がある | 水分をほとんど取り込まない |
| ステロイド | なし | なし |
ただし、「20%は10%の2倍強い薬」という意味ではありません。詳しくは後半で説明しますが、簡単に言うと、塗り薬は、有効成分の濃度だけでなく、基剤の性質も皮膚への働き方に関係するからです。
酸化亜鉛は皮膚で何をしている?
では、主役の酸化亜鉛にはどんな働きがあるのでしょうか。
添付文書には、「収れん、消炎、保護、緩和な防腐」といった作用が記載されています。(参考1)
専門用語だけだと少し分かりにくいので、もう少しかみくだいていきますね。
その1.酸化亜鉛は皮膚の表面を守ります!

1つ目は、酸化亜鉛は皮膚のタンパク質に結合・吸着して、皮膚の表面に被膜をつくります。この膜が、刺激を受けた皮膚を保護する役割をします。
おむつの中では、想像できると思いますが、尿や便、蒸れ、そして、おむつとの摩擦など、皮膚への刺激が重なります。
そのため、皮膚を覆って守るという働きは、おむつかぶれでも大切になります。
その2.酸化亜鉛は炎症を穏やかに抑えます!
2つ目は、酸化亜鉛には、炎症を穏やかに抑える働きもあります。ただし、ステロイド外用薬のように炎症反応を強く抑える薬とは、作用の仕方が異なります。
イメージとしては、
という方が近いと思います。
その3.ジュクジュクを乾かす作用もあるんです!
そして、3つ目は酸化亜鉛には、分泌物を減らし、じゅくじゅくなどを乾燥させる作用もあります。
ここはM子自身、今回改めて調べて整理したところです。(参考2)
以前は、「ジュクジュクしたところを乾かすのは、吸水性のある亜鉛華軟膏だけ」というイメージを持っていました。
でも正確には、酸化亜鉛そのものに乾燥させる作用があり、それに加えて、亜鉛華軟膏には基剤にも水分を取り込む性質があります。
つまり、酸化亜鉛の作用+基剤の特徴、この二つを合わせた作用ということになります。
亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏は何が違う?
ここが、M子も薬剤師になりたての頃によく混乱していたところです。
名前だけを見ると、亜鉛華軟膏/亜鉛華「単」軟膏なので、
「“単”が付くかどうかだけ?」と思ってしまいますよね。
でも実際には、酸化亜鉛の濃度だけでなく、基剤も違います。

「基剤」は、パンでいう生地のようなものです。
酸化亜鉛を「あんこ」だとすると、同じあんこでも普通のパン生地ならあんパン、デニッシュ生地ならあんデニッシュになりますよね。
要するに、同じ酸化亜鉛を入れていても、生地(基剤)が変われば、硬さ・ベタつき・塗り心地、伸びやすさ・落としやすさ、においなどにも違いが出てきます。
亜鉛華軟膏は酸化亜鉛約20%
亜鉛華軟膏は、酸化亜鉛を約20%含む製剤です。
軟膏の土台である基剤には、白色ワセリンに加えて界面活性剤(乳化剤)を含む白色軟膏系の基剤が使われています。
この基剤は、水分を取り込むことができます。
亜鉛華単軟膏は酸化亜鉛10%
亜鉛華単軟膏は、一般的に酸化亜鉛を10%含みます。
基剤にはミツロウや植物油などからなる「単軟膏」が使われています。単軟膏は油脂性で、亜鉛華軟膏の基剤のように水分を積極的に取り込むものではありません。
「何%入っているか」だけで利用用途は決まらないのです
ここが大切です。
亜鉛華軟膏は酸化亜鉛20%、亜鉛華単軟膏は10%。

20%の方が強くて子供のひどい状態をすぐに直せるのでは?
実際には、そう単純ではありません。皮膚のジュクジュクの程度、乾燥の状態、刺激の強さなどによって、どの基剤が合うかも変わってきます。
メーカー資料でも、両者について明確な使い分け基準があるわけではなく、皮膚の状態に応じて選択されるとされていて、要するに「濃度が高い方が上」というより、その皮膚の状態に合った製剤を選ぶという考え方です。
なお、以前は酸化亜鉛製剤として「サトウザルベ軟膏10%・20%」も販売されていましたが、現在は販売中止となっています。
亜鉛華軟膏とワセリンは何が違う?

亜鉛華軟膏にはワセリンが含まれているって書いているけど、以前おむつかぶれにワセリンそのものが処方されたことがあったが、なぜ今回は亜鉛華軟膏なんでしょうか?ワセリンと何が違うんですか?
こういうケースもたまにあります。
大きな違いは、繰り返しになりますが、酸化亜鉛が入っているかどうかです。ワセリンは、皮膚の表面に油の膜をつくって、外からの刺激や水分の蒸発から皮膚を守ります。酸化亜鉛は肌の表面を守るとともに、炎症をしずめたり創面を乾燥してくれる作用も併せ持ちます。
そして、亜鉛華軟膏には、「皮膚を保護する基剤(ワセリン含む)、酸化亜鉛」の両方が入っています。
「ワセリンより亜鉛華軟膏の方が強い・弱いというわけではなく、症状に合わせたより効果の出る成分を組み合わせている」という関係が近いかなと思います。

ワセリンは皮膚の保護・保湿がメイン。酸化亜鉛製剤の中で、とりわけ亜鉛華軟膏が処方されたとなると、消炎、収れん作用、水分吸収作用等の他の効果もプラスされるので、おそらく今の皮膚の状態が、保護・保湿だけでは足りず、ジュクジュクや炎症など、他の作用も必要としている状態ではないかと思われます。
「おむつかぶれ」に亜鉛華軟膏が使われるのはなぜ?
おむつの中は、さきほども触れたように皮膚にとって意外と過酷な環境です。
尿や便に触れるだけでなく、湿気で皮膚がふやけたり、おむつやおしり拭きとの摩擦が加わったりします。こうした刺激が続くと、皮膚のバリア機能が低下して炎症が起こりやすくなります。
たとえば、以前おむつかぶれで亜鉛華軟膏が処方されて良くなったからといって、次回も同じ薬になるとは限りません。
皮膚の状態は、
赤みが中心、ジュクジュクしている、乾燥している、ただれている、皮膚がめくれているなど、そのときによって違います。
また、「おむつかぶれ」に見えても、カンジダなど別の原因が隠れている場合もあります。
そのため、「ジュクジュクなら亜鉛華軟膏」「乾燥なら亜鉛華単軟膏」と家庭で単純に使い分けるのではなく、皮膚の状態を医師に診てもらってからお薬を選んでもらうことが大切です。
市販薬でも購入できる時代ではありますが、お薬を使ってもなかなか治らない、逆にひどくなってきたなど、困った症状があるときには早めに医療機関を受診しましょう。
処方量を見ると、0~4歳でも多く処方されている
M子自身、子どもを育てるようになってから、亜鉛華単軟膏をとても身近に感じるようになりました。
実際にはどのくらい使われているのだろう?と思い、厚生労働省の令和6年度NDBオープンデータを確認してみました。
2024年4月~2025年3月の外来処方を集計すると、亜鉛華(10%)単軟膏は0~4歳で約1,764万g、亜鉛華軟膏が同じく1,355万g以上が処方されていました。(亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏は、全年齢で1億2,234万gなので、約25%が0~4歳で処方されています)
参考:NDBオープンデータ(参考3)より、M子が引用し、該当箇所抽出
M子が子育てを始めてから「よく見る薬だな」と感じるようになったのも、少し納得できる数字でした。
ただし、このNDBオープンデータはあくまで処方量なので、おむつかぶれかどうかはわかりませんが、「乳幼児でも酸化亜鉛製剤が広く使われている」という背景を知るための数字とピックアップしてみました。
おむつかぶれに亜鉛華軟膏はどう塗る?

処方された場合は、まず医師や薬剤師から説明された塗り方を優先してください。
おむつかぶれのときのポイントは、尿や便の刺激から守ってあげることです。
- 便などの汚れをやさしく取り除く
- ゴシゴシこすらず、水分をやさしく押さえる
- 指示された軟膏を、患部がまんべんなく白くなるくらい覆せるように塗る
という流れが基本です。
また、刺激から皮膚を守ると同時に大切なのは、薬を塗る前の皮膚をさらに傷つけないことです。赤くなった皮膚を、おしり拭きなどで何度も強くこすると、それ自体が刺激になります。
また、「多く塗った方が早く治るかな?」と思うこともありますが、厚く塗れば塗るほど効果が高くなる薬ではありません。

少し厚くなっても問題はありませんが、塗る量について迷った場合は、「どのくらい白く残る程度に塗ればいいですか?」など、見た感じを医師や薬剤師に聞いてみると分かりやすいですよ。
亜鉛華軟膏はどうやって落とす?毎回きれいに落とす?
亜鉛華軟膏を塗ると、患部に白い軟膏が残ります。見た感じ、白なので目立ちます。
すると、おむつ交換のたびに、「古い薬を全部落としてから、新しい薬を塗らなきゃ」と思ってしまうことがあります。
でも、毎回完全にこすり落とす必要はないんです。
おむつ交換のたびにお薬のない皮膚の状態まで戻そうゴシゴシしてしまうと、かえって皮膚を傷めてしまうことがあります。
汚れた表面をやさしく取り除くというイメージで十分です。
白く残っていても、汚れていなければ無理に落とさず、お風呂のときなどにやさしく洗います。
亜鉛華軟膏は油性の基剤なので、どうしてもしっかり落としたい場合には、オイル類で軟膏をやわらかくして取り除く方法もあります。

ただし、毎回オイルを使って完全に落とす必要はありません。
「全部きれいに落とすこと」より、「汚れている部分はとりのぞく」・「皮膚をこすりすぎないこと」を優先してくださいね。
よくある質問
Q
市販薬でも亜鉛華軟膏・亜鉛華単軟膏のようなお薬はありますか?
A
酸化亜鉛を含む薬は、処方薬だけではなく、市販薬でも購入できます。市販されているポリベビーにも酸化亜鉛が10%含まれています。
「じゃあ亜鉛華単軟膏と同じ?」と思うかもしれませんが、同じ薬ではありません。
ポリベビーには酸化亜鉛以外にも、
など複数の有効成分が配合されています。
そのため、「酸化亜鉛が10%入っているから、亜鉛華単軟膏の代わりになる」わけではありません。
市販の亜鉛華軟膏やポリベビーとの違いについては、別の記事で詳しくまとめます。
Q
亜鉛華軟膏にはステロイドは入っていますか?また、副作用はありますか?
A
亜鉛華軟膏にはステロイドは入っていません。そのため、ステロイド外用薬に特有の副作用を考える薬ではありません。
ただし、「ステロイドが入っていない=副作用がない」というわけではありません。
酸化亜鉛製剤でも、「発疹、刺激感、過敏症状」などが起こることがあります。
塗ったあとに、かえって赤みが強くなった、発疹が広がった、刺激を強く感じるといった場合は、医師や薬剤師に相談してください
Q
また、かぶれたみたいなので、前にもらった亜鉛華軟膏をまた使ってもいい?
A
前回と今回で皮膚の状態や原因が同じとは限りません。また、開封後の保存状態や衛生面も確認する必要があります。残っている薬を使ってよいか迷った場合は、医師や薬剤師に確認してください。
Q
おむつかぶれが治らないとき再受診した方が良い目安はありますか?
A
おむつかぶれのお薬をもらっても治らない場合、
といった場合には、小児科や皮膚科に相談してください。おむつかぶれではない、カンジダなど、別の原因が関係していることもあります
まとめ
M子にとって、亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏は、薬剤師になったばかりの頃には、「何度調べても、しばらくするとどっちがどっちか分からなくなる薬」でした。
でも、「どちらも酸化亜鉛。ただし濃度と基剤が違う」と整理すると、ずいぶん分かりやすくなりました。そしてママになってからは、子どものおむつかぶれで亜鉛華単軟膏のお世話になることが増え、ずいぶん身近な薬になりました。
だからこそ、「前にこの薬で良くなったから、今回も同じ」ではなく、「今の皮膚には何が合うのか」を見ることが大切なんだな、とママになって改めて感じています。
名前がよく似ていて分かりにくい亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏。でも、適切に使用して、子どもに合っていれば、肌を優しく守ってくれる力強い味方となってくれます。
お肌の辛い状態から少しでも早く解放されますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】

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