こんにちは。ママ薬剤師のM子です。今回は、防風通聖散のまとめとして、患者さんに相談されることの多い、気になるポイントについて記事にしました。

「私は飲めるのかな?」、「痩せるために飲んでいいの?」、「似た漢方とどう違う?」など、よくある質問をQ&A形式でまとめてみましたので、お時間がないときにはここだけでも読んでみてくださいね。前回までは防風通聖散の基礎知識をまとめていましたので、併せて読んでみてください。
Q1.防風通聖散は、どれくらいで効果が出てきますか?
防風通聖散は、飲んだらすぐに効果を実感できるような、いわゆる即効性のある漢方薬ではありません。
18種類の生薬が体全体にゆっくりと作用するため、効果を実感するまでには時間がかかることが多いです。
防風通聖散の効果がでているか分かるための目安としては、
- 便通やむくみなどの変化:数日〜2週間程度
- 体重や体型の変化:1か月前後〜
と言われています。
注意したいことは、副作用は飲み始めて1〜2週間以内に出やすいという点です。

「効果の前に、副作用が出ていないかを確認する」、これが、防風通聖散を安全に続けるための大前提です。
Q2.防風通聖散は「痩せ」に効果があると思っていいですか?
結論からいうと、防風通聖散に適した肥満に効果があることを示す研究はあります(参考1)が、“防風通聖散は、体質によっては効果がありますが、誰でも痩せる薬ではありません”。
ここで防風通聖散の証と効果の関係性について
証を誤って、体力のない人に使用してしまうと、酷い下痢になったり副作用が強く出てしまう可能性があります。

もともと、防風通聖散は証があっていても、おなかが緩くなりやすいお薬です。最初は、これは証があっているのか悩ましいこともありますが、通常の生活に支障がある場合は、すぐに医師または薬剤師に相談して、中止を検討してください。
一度減量できたとしても、防風通聖散の発汗作用、下剤の作用、利尿作用により一時的に体内の代謝産物が排泄されただけで、生活を変えずに服用を辞めただけではリバウンドすることもしばしばあります。運動も併せて代謝をアップさせながら服用を続けていくことで、しっかりとした効果が現れ、効果も持続しやすいです。

基本は、お薬関係なく、食生活や運動などの生活習慣での解消が望ましいです。
山梔子や大黄が配合されており、あまり長期に服用すると腸管に対する副作用が生じるリスクもでてきます。体重を減量できた後の服用は必要量にとどめ、医師と相談しながら、その時の証にあわせて太りにくい体質へ導いていくことが必要です。

減量できたとしても、食事や運動を見直さなければ、服用をやめた途端にリバウンドする方も少なくありません。生活習慣を変えずに、「飲むだけで痩せ続ける」という薬ではないことに注意が必要です。
Q3.長く飲み続けても大丈夫ですか?
防風通聖散は、漫然と長期服用する漢方薬ではありません。
防風通聖散(だけではないですが)は、一般的には、「効果を確認しながら」「定期的に体調をチェックし」「必要に応じて減量・中止・処方変更」という形で使われます。
M子ポイント

「効いているからずっと飲む」ではなく、「今の体に合っているか」を定期的に見直すことが大切です。
Q4.防風通聖散と防已黄耆湯は、どう違いますか?
どちらも「肥満」に使われる漢方ですが、向いている体質が違います。
防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
- 体力がある
- 脂肪が多い
- 便秘がち
- がっしりタイプ
防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)
- 体力があまりない
- 筋肉量が少ない
- むくみやすい
- 水太りタイプ
「同じ肥満」でも、体質によって選ぶ漢方は変わります。自己判断で選ぶのが難しいと感じたら、
ぜひ薬剤師に相談してくださいね。
Q5.甘草や麻黄には「上限量」があるのですか?
現在、漢方製剤において、生薬単位での明確な上限量は定められていません。
そのため、数値で一律に管理することや●gを超えたら危険というよりも、服用後の体の反応を見ながら調整するというスタンスが基本です。

薬局によりますが、1日で●gを超えると、患者さんにどういった経緯で処方されたのかを確認させていただくこともあります(他の漢方薬も服用されていた場合(たとえば、芍薬甘草湯など甘草が多く含まれているもの)などに、体の負担を考えて行っています)。
Q6.一緒に飲んではいけない薬はありますか?
「絶対に併用禁止」という薬は多くありませんが、注意が必要な組み合わせはあります。
- 甘草 × 利尿薬・ステロイド
- 麻黄 × 総合感冒薬・鼻炎薬
- 石膏・滑石 × 一部の抗菌薬(フルオロキノロン系:クラビットなど、テトラサイクリン系:ミノマイシンなど)
- 医療用防風通聖散 × OTC製品(同じ成分を持つナイシトール等)←これは辞めたほうがいい飲み合わせではあります。。。
これらは、副作用が出やすくなったり、薬の効き目が弱くなったりします。

抗菌薬を服用する場合については、先に抗菌薬を服用して、2~3時間間隔をあけた後で防風通聖散を服用すると、両方の効果がしっかり出やすいです。
お薬によっては、このように時間をずらして解決する場合もあります。一緒に飲むお薬の種類によって注意することも変わってきますので、新しくお薬を飲み始めるときには、薬剤師に今飲んでいるお薬をすべて伝えるようにしてくださいね。
Q7.妊娠中や授乳中に使えますか?
防風通聖散は、「大黄、芒硝」を含むため、妊娠中・妊娠の可能性がある方には使用しないことが望ましいとされています。
授乳中についても、安全性が十分に確認されているわけではないんです。そのため、自己判断せず、必ず医師・薬剤師に相談してください。(参考2)
Q8.医療用と市販(OTC)の防風通聖散は同じですか?
同じ処方名でも、まったく同じではありません。
- 医療用とOTCの配合生薬(成分)自体は同じです。
- ただし OTCは生薬量が医療用より少なめ に設計されていることが多いです。
- OTCでは、主に飲みやすさ(粉よりも錠剤化・味の工夫など)を重視していることが多いです。
- OTCの効果効能には「湿疹・皮膚炎、ふきでもの」などの適応が追加になっているものがある。
という違いがあります。
「いきなり医療用は大げさかもしれない」という方は、OTCから試してみるのも一つの方法です。
防風通聖散のOTCに適用が追加されているのはなぜでしょうか?
これは、厚生労働省のOTCの認可の課程で付与された効能ということになります。そして、一旦OTCに新しい効能が追加されたとしても、それを医療用の効能に追加することは、かなり煩雑でほぼ困難なことだそうです(製薬会社へのヒアリング)。
なので、効能効果が多く記載されているOTCの方が見かけ上いろいろな症状に効きそうに思えるかもしれませんが、実質、入っているものは同じです。そして、成分の量は当然、医療用の方が多いということになります。(間違っても2倍飲むなどしてはだめですよ!)
まとめ:Q&Aで整理しておきたいポイント
この漢方は、即効性があるお薬ではないので風邪を引いた時のような急ぎで病院に行く必要がないけど、なんとなく試してみたいと思う方もいるかもしれません。
また、病院に行く時間もない方などはとくに、一度医療用のものより生薬量が少ないもので試してみて、良さそうであれば病院へ(継続したい場合には医師に症状を診てもらいながらの方が体調面でも費用面でも安心です)という方法をとってみるのも一つの手かもしれません。
選ぶことに迷ったとき(販売名を見ただけでは防風通聖散とわからない製品もあるのでそこは注意が必要です)は、現在「健康サポート薬局」という、従来の薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品、介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる薬局が増えてきています。処方せんなくても相談できますので、心配なときにはぜひ一度立ち寄ってみてくださいね。
まとめると、以下の5項目に注意が必要です。
- 防風通聖散は即効性の薬(飲んですぐ効く薬)ではない
- 痩せ薬ではなく「体質改善を助ける漢方薬」
- 長期漫然使用は避ける
- 体質に合わないと副作用が出やすくなることもある
- 併用薬・妊娠中は特に注意
防風通聖散は、正しく使えば心強い、でも誤解されやすい漢方薬です。
ここまでの記事が、「なんとなく選ぶ漢方薬」から「納得して選ぶ漢方薬」へ変わるきっかけになれば嬉しいです。
だれかの役に立ちますように。
ママ薬剤師M子







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