ママ薬剤師M子です。
前回までに、「小青竜湯」の概要と用法用量・子供への飲ませ方についてお伝えさせていただきました。今回は、タイトルの「小青竜湯の効果のある人、注意点」についてお伝えしていきたいと思います。
小青竜湯の効果と服用しても効果が薄い人
小青竜湯は、効く人効かない人がはっきり分かれると言われています。
少し古いデータになりますが、効果が出てくるまでの期間は、証により効果の出方が変わってきますが、鼻過敏症(くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど)に対して、多くは2週間以内に効果が見られ、早い人では4日以内に効果が見られたとの報告があります1
ということは、2週間飲んでみても症状がいまいちな場合には、それ以降も効果が出づらいのではと言えそうです。ちなみに、小青竜湯は、実証や中間証の方向けです。虚証の方には効果が出にくいようですので、今一度知っておかれると良いかもしれません。
また、小青竜湯に用いられる証以外で、痰のからまない咳や、痰が出ても黄色く粘り気がある、口の渇きなどの症状がある場合などには用いられません。
小青竜湯の「証」については、こちらで書いてますのでよろしければ、併せて読んでみてください。
小青竜湯の注意点!
次に、小青竜湯を服用するときの注意点についてお伝えします。
一番の注意点は、特に甘草と麻黄に注意が必要です。
甘草は、グリチルリチンという成分により、浮腫みや体重の増加(偽アルドステロン症) が起こることがあります。日本で処方される漢方薬の約7割は甘草が含まれていると言われているため、漢方を服用する場合はほぼ避けられない生薬になります。
甘草の1日量が2.5gを超える場合や、利尿剤と併用する場合は特に注意が必要と言われています。2
小青竜湯に含まれる甘草の1日量は「3.0g」のため、注意を要する量になります。
また、麻黄に含まれるエフェドリンという成分には交感神経興奮作用があり、大量に汗をかく、動悸などの副作用が起こることがあります。また、胃に負担がかかることがあるため、胃が弱い人は量を控えめにするなど注意が必要です。
そのほかの副作用として、重大なものとしては、他の漢方薬にも言えることですが、「間質性肺炎」、「肝障害」「ミオパチー(症状:力が入らない、手足のけいれん、麻痺など)」、食欲がおちる、嘔吐する、下痢、排尿障害なども報告されています。
怖いワードを並べていますが、漢方を服用後、気になる症状が続くときには早めに医療機関を受診するようにしましょう。
他のお薬との飲み合わせ について
小青竜湯と一緒に飲んではいけないお薬(禁忌薬と呼ばれます)は、添付文書には記載されていません
ただし、前述のとおり、麻黄(対象成分:グリチルリチン酸)や甘草(対象成分:エフェドリン)は、他の漢方薬や市販されている漢方薬にも幅広く含まれているため、摂りすぎにならないように注意が必要です。
また、利尿薬や心臓、喘息のお薬などと一緒に服用すると副作用が強くでることがあります。(OTC、処方薬いずれも)購入時・受診時には、医師や薬剤師に、飲んでいる薬を伝えてください。
保存方法 について
小青竜湯に限らずですが、漢方薬には吸湿性(湿気を吸う性質)があります。
成人で漢方薬を処方される場合は、基本アルミパックなどの分包品を使用することが多いので保存はあまり問題になりませんが、小児の場合は注意が必要です。
漢方薬は直射日光にあたることで変質しやすいことも報告されていて、小児用という漢方薬はないため、粉薬を作るときはアルミパックを開封して分包します。そのため、保存する場合には、チャック付きの乾燥剤を入れた遮光袋で、高温になりすぎない場所に保管することをお勧めします。
今回はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました
ママ薬剤師M子
【参考文献等】- 耳鼻咽喉科展望 通年性鼻過敏症と小青竜湯の臨床効果 1991, 34 巻, Supplement1 号, p. 1-7[↩]
- 福岡県薬剤師会 薬Q&A[↩]
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