前回、カンジダと治療薬について、まとめました。
今回は、あまり書かれることがないかなと思い、薬局での対応について書いてみます。陰部のかゆみという、少しセンシティブな異変について、お近くの薬局で相談できることを覚えてていただければ嬉しいです。
カンジダかもしれないと思ったときの薬局での対応
初めての症状で来局される方には、まず受診が必要ですので、婦人科受診をお願いしています。前回説明したように、薬局のお薬で対応できそうな方には、お薬の説明をさせていただきます。(下に前回記事で書いた病院or 薬局のどちらで対応可能かのパターンを再掲しますね)
薬局で購入が可能な剤形は膣錠(膣坐剤)とクリームがあります(内服タイプでフルコナゾールもありますが、内服は医師の診察が必要となるので、薬局だけでは購入できません)。
いずれも、抗真菌薬とよばれる、カンジダという原因菌に効果が認めれられているお薬ですが、薬局には、いろいろな名前で販売されています。
M子の場合ですが、ご来局された方の表情を見て、あまりにも辛そうな、緊急を要する雰囲気を感じた場合には、OTCではなく、近くの婦人科を紹介したりして、受診をお勧めしています。薬局で購入するのは、自宅でケアできる状態である全身状態が望ましいとM子は考えているので、精神的にも辛そうな顔をされているときには、他の医療従事者が関わった方が良いと思っています。
膣カンジダの市販薬
2回目以降にカンジダ膣炎が発症した場合に、どの種類が自分の症状にあっているかは、その店舗の薬剤師に相談しながら決めるのが一番とは思いますが、ざっくり、どのような種類と特徴があるのか知りたい方もおられるかなと思い、有名どころ(とM子が思うもの)を成分名と商品名で記載します(順不同です)。
ここに書いてある医薬品は、処方せんなしで購入できますが、「第1類医薬品」なので、薬局・ドラッグストアの薬剤師常駐店舗でしか購入できません。
といいつつも、インターネットの薬局(薬剤師の問診後に購入可能)でも購入できます。。。
- イソコナゾール硝酸塩(医薬品名:イソコナゾール、OTC名:メンソレータムフレディ)
- 膣錠
- メンソレータムフレディ®CC1膣錠(1回タイプ)
- メンソレータムフレディ®CC膣錠(6回タイプ)
- クリーム
- 膣錠
- クロトリマゾール (医薬品、OTC名ともに:エンペシド)
- クリーム
- ミコナゾール(医薬品名:フロリード、OTC名:メディトリート)
- 膣錠
- メディトリート®膣坐剤(6回タイプ)
- クリーム
- 膣錠
- オキシコナゾール(医薬品名:オキシコナゾール、OTC名:フェミニーナ、オキナゾール)
- 膣錠
- フェミニーナ®膣カンジダ錠(6回タイプ)
- オキナゾール®L100(6回タイプ)同じくL600(1回タイプ)
- 膣錠
膣錠でも、メンソレータムフレディ膣錠は1回の使用で効くタイプがあったり、エンぺシドは発泡して効果的にお薬がいきわたるように製品化されていたりします。これらの特徴は、同じ成分の処方箋医薬品の特徴を、そのまま受け継いでいることが多いです。それぞれに特徴があるので、違いがわかるように、来局された方の好みや適性を考えながら説明するようにしています。(店舗に在庫がない分でも、必要そうであれば、わかる範囲でご紹介しています)
カンジダ治療薬の膣剤は、パッケージに入っている個数を1回の症状ですべて使い切る必要があります!
カンジダ治療薬成分の4種類~M子的分類~
上でお薬を列挙しましたが、とはいいつつ、どのように選んだらいいのかは、薬剤師でも悩むところ・・なので、各成分に対して添付文書やインタビューフォームなどから特徴を調べてまとめてみましたのでご参考までに!
- 歴史について
- クロトリマゾールは、膣坐剤(膣錠)に関して、一番歴史が古く、有効性の面でも世界でも認められている。
M子の感覚的にも、産婦人科からの(カンジダであろう)処方箋に載ってくる割合としては一番多いと思います。(膣坐剤(膣錠)は、すでに病院で処置されていることが多いので、クリームをお渡しすることがほとんどです。)
- 膣剤の特徴について
- クロトリマゾールは発泡性による崩壊性の良さが利点、オキシコナゾールは脱落しにくい小型であることが利点。
- イソコナゾールとオキシコナゾールは1日1回投与法と6日間投与法の2種類の投与法がある。(6日間投与法の方がやや優れる成績を有する)
- 特殊なカンジダへの有効性
- カンジダの種類で、カンジダ・グラブラータ(頻度は1割程度と低いが難治性と言われている)にも効果が高いのはオキシコナゾール
- 効果に関する研究
- クロトリマゾールとミコナゾールは臨床試験の結果が記載されており、膣炎及び外陰膣炎に対する効果は、クロトリマゾールが膣炎に対して88.6%,外陰膣炎に対して88.3%、ミコナゾールは、膣炎及び外陰膣炎に対して92.1%という若干の差はあるものの、高い有効性が示されている。
- 副作用について
- 副作用の内容は、いずれの成分も膣に対する症状(かゆみ、発赤、疼痛、熱感、刺激感など)がほとんど。しかし過敏症の蕁麻疹などが膣以外でも起こることが報告されているため、どの成分でも注意が必要。
- 性交渉について
- ミコナゾールは添加物によるゴム製品の劣化に注意が必要です。
カンジダのお薬利用時には性交渉は控えるべきと言われております。
- 1回目効果が無かった時の追加利用
- 真菌学的効果が得られなかった場合の追加投与の期間については、成分によって若干記載が異なっている。(クロトリマゾールは必要に応じ期間延長、ミコナゾールは、菌の再出現防止のためには14日間投与が望ましい、イソコナゾール・オキシコナゾールは、6日間療法、1日療法それぞれに追加で同量同期間と記載されている)
いずれの薬も得意な事、不得意な事があります(副作用はおおむね同じような内容なので、得意・不得意と表現してます)。自分の症状、生活の仕方(働き方やサイクル、繁忙期等)、過去の副作用歴、他の服用している薬の有無などから、判断する必要があります。OTCを利用する前に1回は必ず医師にかかると思いますので、医師に相談し、その後OTCで対処するときには、薬剤師に相談してみてください!
膣カンジダOTC薬の使い分けと注意点
上に記載した、OTCになっている4種類の成分である「イソコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール」は、いずれも膣カンジダの原因菌である「カンジダ・アルビカンス」に有効であることがわかっています。
その中でもオキシコナゾールに関しては、膣カンジダの原因菌の中でも、頻度は1割程度と低いですが難治性である「カンジダ・グラブラータ」にも効果が確認されています。病院で治りにくいと言われオキシコナゾールで治療された方には、薬局でもオキシコナゾールを選択されることをお勧めするか、病院で他の治療法を検討されるかもしれないので、受診していただくようお伝えすることもあります。
婦人科では、何の薬で治療(処置)したかまで、説明されないことの方が多いかなと感じているのですが(薬局に来られる方も、知らない人がほとんど。M子もそうでした。忙しそう、恥ずかしそうと思っていたのですが、勇気を出して聞いてました)・・何れにせよ、ご自身で購入される際は、病院で使用したものと同成分のものを使用されるのが、治療効果、副作用発現のリスク両面で安心ではないかと思います。
膣カンジダが発症した時の膣剤使用
膣剤を使用するのは抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。私もその一人です。でも、最近はいろいろと工夫がされており、膣剤の中には、「アプリケータ」という、膣剤の使用を手助けしてくれる器具がついているものもあります。
膣錠は1回タイプのものの方が便利ですが、連日使用するタイプのほうが、効果はやや高いと言われています。6日間、連日お薬を使うのは手間暇もかかるため、出来る方は限られるかもしれませんが、一つの参考になればと思います。
私は妊娠の可能性も考えて、カンジダの時は病院受診がほとんどでしたのでアプリケータを使ったことはないんです。。ただ、子育て中は、なかなか病院受診が難しいので、いつかお世話になるかもしれません。
さいごに
今回記載したこと以外にも、今回、個々の商品の説明文書には大切なことが詳しく記載されています。ご自身で購入された場合には、使用前によく読まれてください。
体が悲鳴を上げたとき、勇気をもって受診することをお勧めします。膣カンジダに関しては、薬局でも購入できることがあるため、薬剤師にも積極的に聞いてみてくださいね。
毎日の疲れで体が悲鳴を上げたとしても、なるべく快適に過ごしたいですね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
薬剤師M子
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