前回は、プロペトの効果やよく聞く疑問点などについてお伝えしましたが、今回は疑問点の続きになります。
プロペトは肌を守ってくれるので、いつでも塗って良さそうに思えますが・・・
塗って効果的なケースと、逆に悪化してしまうケースもあるので注意が必要です!
プロペトの疑問点 前回からの続き
前回の疑問点「①プロペトは安全?赤ちゃんがたべたけど大丈夫? 」「②妊娠中・授乳中のプロペトの使用は大丈夫? 」はコチラで書いてますので、併せてお読みください。
③プロペトはニキビに塗ってもよい?
結論:プロペトは、「ニキビには塗らないほうが良い」です。
なぜかいうと、プロペトはワセリンと同様ベタつきやすく、毛穴の目詰まりを起こしやすいと考えられるからです。ちなみに、今回シリーズでお伝えしているヒルドイドも、血流を促進することで肌が赤くなる傾向があることから、ニキビには勧められないようです。
ただし!ニキビを治す方法として、ニキビ用のお薬と、(ヒルドイドやプロペトではないノンコメドジェニックな)保湿剤を併用することは推奨されています。1
残念ながら、ノンコメドジェニックといえる保湿剤には処方薬はありません。
市販の化粧水などで販売されていますので、ドラッグストアなどで相談されてみてください。ノンコメドジェニックかどうかは、「ノンコメドジェニック」または、「コメドジェニック試験済」という記載で確認できます。
▼おススメというわけではないですが、M子近くのドラッグストアでもよく見る商品もありました。
ニキビといえども、お薬がうまく皮膚に行き渡るように、また皮膚の乾燥でさらなるダメージを受けないように、保湿は大切なようですね。
③-1 ニキビにステロイドを塗ってもよい?
プロペトにはステロイドは含まれていませんが、ニキビ関連として、薬局でもよく質問されるステロイドについて触れてみたいと思います。
結論:ニキビに「ステロイドは塗るのはNG」です。
かゆみや赤みを治してくれる、よく皮膚科で処方されるステロイドですが、「ステロイドを塗るとニキビが治る」と思っている方がいらっしゃいます。実は「逆効果」なので気をつけてください。皮膚の病気でステロイドを使ったとき、ステロイド自体が免疫を抑える働きがあるため、細菌が勝ってしまい、悪化してしまう可能性があります。
ステロイドの作用として参考までにですが、血管を縮ませる働きがあるので高齢の方は皮膚が薄くなって、怪我をすると治りにくくなることもあります。
ステロイドは「必要な時はしっかり!」使う必要がありますが、必要以上(医師の指示以外)には使い続けない方が安心です。3
④プロペトは日焼け予防できる?日焼けした後に塗っても大丈夫?
結論:日焼けには、前にも後にもワセリン(プロペト)は効果的!
ワセリンやプロペトは紫外線を防ぐことが証明されています。ですので、塗ったからといって酷くなることはなく、紫外線を予防することに役立つと言えます。前回は基本的にプロペトはうすーく塗るようにお伝えしましたが、紫外線を防ぐ効果は、薄く塗るよりも厚めに塗った方が効果は高いようです。4
⑤プロペトは日焼けした後に塗っても大丈夫?
結論:日焼け後にもワセリン(プロペト)を塗ることは問題ないです!
日焼けした後に塗っても大丈夫です。むしろ、塗った方が、日焼けした肌を休ませてくれます。
日焼けした時、肌は熱で疲れて乾燥している状態です。紫外線を浴びた肌はしばらく熱をもつため、紫外線から離れても、皮膚から水分がさらに蒸発し、より肌にダメージを与えてしまうことがあります。ぬるま湯などでシャワーを浴びた後、かるく水分をふきとり、ワセリンやプロペトをやさしく塗ってあげると、日焼け後の肌が保湿され、ダメージから肌を守ってくれることになります。
ただし、日焼けがひどいときには、ワセリンなどの保湿のみでは治りにくい場合がありますので、ひりひり感、ただれなどの症状があるときには早めに病院を受診しましょう。
⑥時間がないときに、病院ではなく薬局(ドラッグストア)でワセリン買っても大丈夫?
結論:目的に見合っていれば薬局で購入しても大丈夫です。
白色ワセリンやプロペトには、診察を受けてから処方してもらえる医薬品と、市販薬として自分で購入できるOTCの2タイプがあります。
処方してもらうお薬と市販薬とでは、ワセリンやプロペトの成分の他に添加されているものが違うことがあることと、説明書に記載されている効能効果に違いがありますが、どちらも皮膚の保護に使われる点では同じといえます。
医療用 | 市販(OTC) | |
---|---|---|
効果効能 | 軟膏基剤として調剤に用いる。また、皮膚保護剤として用いる | 手足のヒビ、アカギレ、皮ふのあれ、その他皮ふの保護 |
参考の商品名 | 医療用の白色ワセリン | 「健栄製薬 白色ワセリンソフト」 |
市販薬の方が高いとは言われるものの、病院の受診料を合わせるとそうとも言えない場合もあります(小さなお子さんの場合は医療費かからないので、値段だけで見ると病院の方が安いかもしれません)。
ただし、先ほども少し触れましたが、ワセリンやプロペトの市販薬の中には、医療用には入っていない香料や添加物が入っていることがあるため、肌に敏感な人や心配な人は、薬局の薬剤師にぜひ相談してみてください。
その際、注意していただきたいことは、①赤ちゃんや皮膚が敏感な方は、より純度の高いものが安心です。 ②赤み、ただれ、かゆみなど、皮膚の状態が悪いときには、ワセリンやプロペトのみでは治りにくいことがあるため、受診した方が良い場合もあります 。
⑦プロペトは塗っていけない場所はある?
結論:基本的に、プロペトは、顔、口、陰部など、肌が薄い部分も含めて全身に使うことができます。ただし、注意していただきたいこともあるので、3点ご紹介します。
1)「プロペトは眼科用で使用できる」と添付文書には書いてあるが注意
- 眼科用で使用するときには、眼科用に滅菌処理を行います。そのため、目が乾燥するからといって、自分の判断で眼の中にプロペトを塗るようなことはしてはいけません。病院を受診して、医師の指示をしっかりと聞くようにしましょう。
- 2)ニキビや傷口など、雑菌が入っていそうな部分には塗らない
- ニキビについては、先ほども触れましたが、プロペトは皮膚に蓋をする働きがあるため、雑菌も一緒に蓋をしてしまい、肌の中で増殖し症状が悪化する可能性があります。
- 3)頭皮には塗らない方がベター
- 髪の毛の先の乾燥予防で少量をすり込むように使用されることはあります。
- しかし、頭皮には、さらっとしたローションタイプの保湿剤が使用されることが多いです。また、とくに汗をかきやすい夏場は、汗腺を逆に防いでしまい、汗疹(あせも)を悪化させてしまったり、小さなお子さんがとくに注意が必要です。
- うまく体温が発散できず熱を体にこもらせてしまったりする原因にもなります。背中や顔など、とくに汗をかきやすい場所に関しては、夏場は、医薬品に限らず、さらさらしたローションタイプの保湿剤の方が使いやすい場合もあります。 そして当然のことながら塗り薬ですので、全身に使えるといっても、飲んだり食べたりすることはできません。
病院に行くと、症状に合わせて医師から処方をしてもらえると思います。万が一、お薬が肌にあっていない、症状がよくならない、症状が悪化した、他にも気になることなどあれば使用をやめて医師・薬剤師に相談してください。
必要な量を必要な回数、正しい塗り方で塗っていない場合には、症状がなかなかよくならず、薬が効いていないと勘違いしてしまうことがあります。指示された通りに塗ることは大切ですが、医師や薬剤師に相談される時に、どんな風に(1日の回数や1回の量、塗り方など)塗っているかまで詳しくお伝えいただけると、的確なアドバイスがもらえるかもしれません!
最後のまとめ
ヒルドイド、プロペト、それぞれに良いところも気をつけた方が良いところもありそうですね。
ちなみに我が家、季節で違うこともありますが、保湿剤としての使用感の好みとしては、M子は肌を極力乾燥させたくない、外から守ってほしいプロペト派、夫はできればベタベタしたくないヒルドイド派です。
そして息子はM子がわからないくらいのヒルドイドのわずかなニオイが苦手です。使い心地、ニオイ、効果と、肌の質も個人差がありますし、好みも様々ですね。
最近はお風呂上がりにヒルドイドを使うと冷たいと言われるのでただ塗られたくないだけかもしれませんが。。。
医薬品にとどまらず、いろいろな保湿剤が薬局に並んでいる現在。目的にあった、使い心地の良いものが見つかり快適に過ごせますように。
長かったヒルドイド・プロペト、最後までお読みいただきありがとうございました。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】- 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023[↩]
- 日本痤そう研究会[↩]
- 羊土社 山本一彦, 鈴木洋史 編集 薬剤ごとの違いがわかる ステロイドの使い分け[↩]
- Emel F,et al:Eur J Dermatol, 2002;12(2):154-156, 2[↩]
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