こんにちは、ママ薬剤師M子です。今回はドラッグストアで購入できるリンデロン製品(リンデロンVs)について解説します。
前回までは、リンデロン塗り薬の基礎知識と、リンデロンの種類と使い分けについてお話ししてきました。
ドラッグストアで購入できるリンデロンの記事を書くきっかけ
今回リンデロンを中心に記事を書くきっかけがありました。
リンデロンみたいな(有名な名前なのでご存知のようでした)この薬、以前皮膚科でもらったんだけど、これは虫さされにも使えるものかしら?遠くまで旅行に行くので、すぐに病院に行けないかもしれないから、虫にさされた時のために効きやすいものを持っておきたいの。
リンデロンみたいな・・?と言われたので、見てみると「デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏(先発商品名:メサデルム)」という、リンデロンの製品(リンデロンV、VG、DPなど)とは異なる製品でした(ちなみにステロイドのランクとしては、リンデロンV、VGと同じ5段階中3番目の強さです→ステロイドのランクの記事はコチラ)。メサデルムの場合ですが、効能効果は添付文書1に以下記載があります。(大量に効能効果があるので、読みづらいですが一応記載します・・・)
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、虫さされ、薬疹・中毒疹、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、紅皮症、慢性円板状エリテマトーデス、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、毛孔性紅色粃糠疹、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、アミロイド苔癬、斑状アミロイドージス、天疱瘡群、家族性良性慢性天疱瘡、類天疱瘡、円形脱毛症
確かに、虫刺されが効能効果にありますが、併せて添付文書には「効能または効果に関連する注意」として、以下記載もあります。
皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合にはあらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか又はこれらとの併用を考慮すること。
医師ではないので経験則ではありますが、一般的に虫刺されの場合は、皮膚の化膿などの2次感染にも考慮する必要があります。しかし、症状が起きていない段階での診察はできず、「この製品はあらゆる虫刺されには向いていないと思います。また、自分の判断でステロイドを使うのは危険なので、(一旦説明したあとで)虫刺されならステロイドではなくても、とりあえずムヒなどを持っておかれてもいいのでは?」とお伝えしました。
前回の記事にも書きましたが、ステロイドの効果は絶大なものがありますが、使い方を誤る(指示以外の使い方をするなど)と副作用で辛いことがあるかもしれません。最近ではOTCで気軽にステロイド塗り薬を購入することが可能となってきたので、使い方や選び方含めてお伝えしたくなり記事にしてみました。
ドラッグストアで購入可能なリンデロンの種類
前回、処方されて出されるリンデロン塗り薬には「リンデロンDP(ベリーストロング)、リンデロンV(ストロング)、リンデロンVG(ストロング)」があることをお伝えしましたが、現時点ではドラッグストアで購入可能なステロイド塗り薬のランクは「ストロング以下」です。
そして、処方薬と全く同じものは残念ながらドラッグストアで購入できる製品はありません。
一方、リンデロンの主成分である、「ベタメタゾン吉草酸エステル」が含まれている商品は存在します。ただし、主成分以外の部分については、製薬会社によって、添加物や成分の種類と量が一部異なるなどの工夫がなされています。
処方薬のリンデロンとは何が違うの?
では、処方薬のリンデロンVGとリンデロンVsの主成分は同じだけど、何が違うのかは気になるところだと思います。
主成分は同一だが剤形が異なる点について
実は、処方薬でもリンデロンにも、「軟膏、クリーム、ローション」の各タイプが存在します。
各剤形のリンデロンに限らず一般的な違いとして、簡単にそれぞれの特徴をまとめました。
個人の感想にはなりますが、M子は子どもに塗ってあげるのには軟膏タイプが、しっとりが続くので好きです(プロペト(ワセリンの一種の軟膏)も保湿剤として肌に優しいので好きです)
ドラッグストアで購入できるリンデロンの種類
リンデロンVsは、街中のドラッグストアやインターネットサイトでも購入できます。第2類医薬品なので、薬剤師ではなく登録販売者がいる店舗で購入可能です。
そして、購入できるリンデロンの種類については、「リンデロンVsプレミアム・リンデロンVs」の2種類があります。それぞれ中身を見ていきたいと思いますが、「プレミアム」ってちょっと良さそうな感じがしますよね。「プレミアム」とそれ以外の違いは何なのでしょうか。
リンデロンVsプレミアム
リンデロンVsプレミアムには以下の2種類があります。主成分と皮膚修復成分、殺菌成分の配合量はどちらも同じです。
リンデロンVsプレミアム軟膏
- 添加物として2、流動パラフィン、トリイソオクタン酸グリセリン、ソルビタンセスキオレイ酸エステル、白色ワセリンが配合されています。
リンデロンVsプレミアムクリーム
- 添加物として3、流動パラフィン、セトステアリルアルコール、トリイソオクタン酸グリセリン、白色ワセリン、ミリスチン酸イソプロピル、ポリオキシエリレンベヘニエーテル、ジメチルポリシロキサン、モノステアリン酸グリセリン、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸メチル、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物が配合されています。
記載してみると、クリームは添加物が多いですが、皮膚を守るための成分や、クリームとして安定するための乳化剤・水分を多く含むクリームは軟膏よりも細菌が繁殖しやすいため、それを防ぐために防腐剤が含まれています。
リンデロンVs軟膏・クリーム・ローション
添加物は、リンデロンVsプレミアムとほぼ同じですが、プレミアムに入っている添加物の方が多いです。添加物が入っているから良いとか、悪いということを完全に言い切れるわけではなく、必要に応じて調合されています。ただし、添加物でアレルギーを起こすこともあるので、初めて使用する場合には肌の変化に注意してくださいね。ヒリヒリ、痒みなどが生じた場合には肌に合っていない可能性があるため中止し、早めに医師・薬剤師に相談してください。
リンデロンVsとリンデロンVGの値段比較について
リンデロンVs軟膏(10g)はAmazon価格で1700円前後です。一方、リンデロンーVG軟膏0.12%(10g)は1gあたり27.7円なので、277円の3割負担で83円(薬剤費のみ)で安価ですが、これに診察代、調剤費など別途かかりますので、初診で大体2~3000円といったところでしょうか。
殺菌成分と皮膚修復成分が含まれている点について
リンデロンVsプレミアムには殺菌薬(イソプロピルメチルフェノール)が入っていると書きました。処方薬で近しいものとして、リンデロンVG(使用されている抗菌薬:ゲンタマイシン)があります。決定的に異なる点が、ゲンタマイシンは抗菌薬であり、殺菌薬ではありません。
※ゲンタマイシンという抗菌薬とステロイドの配合薬はOTCでは購入できませんが、他の抗菌薬と他の種類のステロイドが配合されたOTCは販売されているものもあります。
どんなときに、このリンデロンVsを選べばいい?
リンデロンVs(プレミアムも同じ)の効能効果は
しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましん
と記載があります。病名はかけないので、どのような状態時に使うかを書いてありますが、主に肌がぶつぶつしてかゆい時に使うというイメージでしょうか(にきびなど、使ってはいけない症状があるので説明書をよく読んでから使用しましょう)。
ドラッグストアで購入できるリンデロンVsの注意点
市販薬であるリンデロンVs製品に限らずですが、市販薬(OTC)は自己判断で購入できるお薬です。ですので、試してみたけど治らない、逆に痛みや痒みなどが出てきた、他にもなんだかおかしいという事があればお薬が症状や体質に合っていない可能性がありますので、必ず皮膚科を受診してください。
足などのじゅくじゅくしている部分(水虫、たむしの可能性)、目、化粧下地としての利用、ひげそりの炎症、にきびなどには使わないようにしてください。
発疹が一部ではなく広い部分にできている・水疱やただれになっている・発疹のみならず発熱やだるさ、神経にそったようなピリピリじんじんしたような痛みもある・初めての薬を飲んだあとに湿疹がでてきたなどのときには緊急を要することがあるため、リンデロンVsなどの市販薬ではなく、はやめに受診するようにしましょう!
まとめ
今回のまとめです!
長くなってしまいましたが、
最後までお読みいただきありがとうございます。
みなさんの何かしらお役に立ちますように。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】
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