こんにちは、ママ薬剤師M子です。前回はステロイド軟膏の基礎知識についてお話ししましたが、今回は、代表的なステロイド軟膏である、「 リンデロンの種類と使い分け 」について詳しく解説していきます。
病院で処方されるリンデロン塗り薬の種類
病院を受診して処方してもらえるリンデロンの外用薬としては、眼科用や耳鼻科用を除いて皮膚に塗りひろげるものだけでいうと、リンデロンDP、V、VGの3種類があります。
塗り薬のタイプ(剤形)としては、軟膏やクリーム、ローション等それぞれにあり、使用感や使用されやすい部位も異なりますが、今回は成分の働きを中心にお伝えしたいと思います。
剤形の違いについては、別記事にできればと思ってます・・・
復習ですが、ステロイドの塗り薬には、クラスが上から「ストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウィーク」と5ランクに日本では分けられています。(詳細は前の記事をご参照ください)
リンデロンの名前の由来
病院で処方されるリンデロンの塗り薬について簡単に説明しました。
ところで、リンデロンという名前が3種類すべてに付いていてとてもよく似ていますね。
これは、同じ製薬会社で作られており、ベタメタゾンという同じ成分が入っているからだと思われます。
そして、リンデロンという名前は「Nebennierenrinde(副腎皮質)の「rinde」+RON(語尾調整)に由来し、「V」は吉草酸エステル(Valerate)の「V」、「G」はゲンタマイシン(Gentamicin)の「G」に由来します。1
参考までに、リンデロンが世の中に出てきたのは、リンデロンV軟膏(1968年)→リンデロンVG軟膏(1970年)→リンデロンDP軟膏(1979年)→アンテベート軟膏(1993年)の順番でした。
リンデロンを含めたステロイドの塗り薬の副作用
ここまで、病院で処方されるリンデロンに注目して記載してきましたが、ステロイドには一般的に高い効果と、その効果のために副作用が発生してしまう場合があり、ママの中でも不安になる原因の一つだと思います。
そこで、具体的にどんな副作用が起こる可能性があるかについてお伝えしたいと思います。
ステロイド塗り薬の副作用の分類
ステロイドの塗り薬の副作用には、大きく分けて
①塗布している部分(部分周辺も含む)に起こる副作用
②皮膚を透過してしまい、血中より全身に吸収されてから起こる副作用の2種類があります。
ステロイドの塗り薬は、ごくわずかな塗布量では皮膚から吸収される量は少ないものの、塗布する部位(顔面の瞼や脇の下など)や塗布する量、塗布する期間によっては吸収が高まってしまい、全身性の副作用が起きてしまうことがあります。(部位の吸収率については前回記事をご参照ください)
①局所的な副作用の症状
頻度が高く問題となりやすいものとしては、
- 皮膚の萎縮(どの部位でも)
- 潮紅(顔面に多い)
- 紫斑(うでに多い)
- にきびのような皮膚炎(顔面に多い)
- 色素脱失(どの部位でも)
- 多毛(腕や脚に多い)などがあります。
②ステロイドの塗り薬による全身性の副作用
塗り薬による全身性の副作用の出方は、飲み薬のステロイドほどではないものの、浮腫、体重増加、高血圧、糖尿病の誘発・増悪、成長抑制、無月経、医原性クッシング症候群などの副作用が報告されています。
point
一度効果が出たからといって、頻繁に同じ症状が出た時、自己判断で安易に同じステロイドを使い続けないようにしましょう。
- M子の息子は乾燥肌のアレルギー体質なので、季節の変わり目などとくに、湿疹や痒みなどが出ることがありステロイドにお世話になることがあります。たしかにステロイドを塗ると、息子の場合ですが症状が治まってくるのは早いです。だからといって完全に治らない状態で繰り返し使い続けると、皮膚に何らかの局所的な副作用が起きてしまう可能性は否めないため、治りが悪ければ再度受診するようにしています。
- このような考えもあります。症状が出たときのステロイドではなく、「症状が出るまえに予防保として肌の保湿を行い、皮膚のバリア機能を維持しておくことが大切3」です。ありがたいことに、メーカーさんや、子供のかかりつけのに先生にも教わりました。お風呂上がりの保湿を徹底し、予防に努めているところです。
ステロイド塗り薬を使うときの注意点
さきほどもお伝えしましたが、「リンデロン」という同じ名前の成分が入っていても、強さや、使用できる症状も異なります。
とくに小児や皮膚が薄くなる高齢の方などは、先ほどもお伝えしたように皮膚が弱かったり薄かったりするため、他の年齢層の方よりも副作用が出やすいと言われています。
とはいえ、必要な場合には強いランクでしっかりと治療したあとで、症状が落ち着いてからステロイドのランクを下げる方法がとられることが多いです。
また、湿疹があると思い安易にステロイドを使用してしまった場合に、それがニキやイボなどであったとき、症状が悪化してしまう場合もあります。何の症状が不明なときには思い込まずに医師、薬剤師などに相談されることをおすすめします。
M 子の子供もステロイドを処方されることがあります。これまで、脚の湿疹にリンデロンVG軟膏、顔の湿疹にロコイド軟膏などを処方していただきました。
M子が子供にステロイドを使うときに注意していることとしては、体の部位ごとに塗り間違えないこと、症状があるところ以上の範囲には塗り拡げないことです。
また、幼い娘はとくに塗り薬が好きなため、勝手に塗らないように子供の手の届かないところに置いています。
さいごにまとめ
患者さんや友人と話していると、以前処方されたかなり強いステロイドを日常的に使用されていたり、かたや保湿剤代わりに使われていたりと、誤った使い方をされている方もいてビックリすることもあります。
今回の記事のまとめをまとめると、
繰り返しになりますが、ステロイドは、効果が期待できる反面、間違った使い方をすると症状が悪化したり副作用が全身に出てしまったりする可能性もある、危険な面も併せ持つお薬です。
ただし、副作用を怖がりすぎて使用しないでいると逆に症状の回復が長引いてしまったり、逆に悪化してしまったりすることがあるので、効果を信じてしっかり使うこともとても大切です。
症状にあったステロイドを指示された期間しっかり使用して、お肌がはやく回復しますように。
さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】
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