前回、麦門冬湯の効果効能などを中心に書きました。第2回目は、麦門冬湯の用法用量、飲ませ方のコツ、特に子どもへの飲ませ方についてをメインに書いていきたいと思います。
飲ませ方のコツについては、M子家の子どもの経験談ご紹介となりますが、参考になれると幸いです。
麦門冬湯の用法用量について
まずは、麦門冬湯の一般的な用法と用量についてです。漢方薬は、年齢・人により増減があるのですが、基本的には、以下の考え方で処方されます。
麦門冬湯(ツムラ)の用法用量
成人:1日 9.0g を2~3回にわけて、食前又は食間に服用
小児:一般的に、年齢と体重を指標に算出する方法がとられる
詳しくは、コチラに詳しく書きましたので、併せてお読みください。
多くの漢方エキス剤は、成人の1日量が 7.5g であることが多いです。
麦門冬湯は、以前紹介した小青竜湯同様、1日量が 7.5g ではなく9g(1 包あたり 3g)です。
1日量が9g の時には、小児では体重 1kg あたり 0.13~0.24g を目安に算出されることが多いです。たとえば、10kg の場合 1 日あたり 1.3~2.4g になります。
麦門冬湯の保存方法について
漢方薬は吸湿性(湿気を吸う性質)があります。成人で漢方薬を処方される場合は、基本アル
ミパックなどの分包品を使用することが多いので、保存はあまり問題になりません。
小児の場合は、成人のアルミパックを開封して分包することが多いため、注意する必要があります。
また、直射日光にあたることで変質しやすいことも報告されています。そのため、保存する場合には、ジッパーつきの乾燥剤を入れた遮光袋で、高温になりすぎない場所に保管することをお勧めします。
麦門冬湯の子どもへの飲ませ方のコツについて
麦門冬湯の子どもへの飲ませ方についてお伝えしていきます。小青竜湯の記事と似ている部分も多いですが、麦門冬湯バージョンで書いています。
麦門冬湯は、こう米の風味が香ばしく甘みがあり、飲みやすいと言われる方が多い漢方薬です。
とはいえ、独特な風味を嫌がる子どももいるため、それぞれに応じた対応が必要になってきます。
少しの工夫で飲めるお子さんもいらっしゃいますよ。
麦門冬湯の子どもへの飲ませ方の例
M子も苦労した、イヤイヤ絶賛期の2~5歳向けの飲ませ方をご紹介します。お子さんの好みに合わせて是非アレンジなどしてみてください!
- アイスクリームやヨーグルト、練乳、ジャム、あんこなどのおやつに混ぜる
- お湯にといてから、砂糖、リンゴジュース、カルピス、ココアやはちみつに混ぜる
- お湯にといてから単シロップ(処方せんが必要)を混ぜる
- お湯に溶いてそのまま飲む (匂いを嫌がるのとは逆に、匂いを楽しみながら飲む方法。漢方の 匂いが好きなお子さんも実際いらっしゃいます。そのような時はそのままということも)
- ムコダインドライシロップ(痰切りの薬)などの、漢方薬との味の相性が良いお薬が一緒に処 方されたときは一緒に混ぜて飲ませてみる(ムコダインドライシロップとは味の相性が悪いお薬 もあるため、すべての西洋薬と混ぜてよいとは言い切れません※M 子記事参照→)
- 最終兵器→おかずや料理に混ぜる(カレー、味噌汁、ホットケーキ、ハンバーグなど)※1 回 分が 1 食で摂取できるように、お薬とお料理の分量を考えて作る必要があるのが難点) 1 2
目標は、そのままの漢方を飲めるようになることですよね。ずっと甘い味でお薬を飲ませることに抵抗をもたれている親御さんも多いです。
しかし、最初でつまずくと、長く漢方嫌いになってしまうことがあるので、漢方薬が飲めた!と自信をつけてから前向きに飲めるようになることを願って、服薬指導する際には工夫する方法をご紹介しました。
M子の経験談
- 初めては、麦門冬湯を単シロップ(砂糖シロップ)に混ぜて挑戦しました。結果は、慣れない風味で吐いてしまい、トラウマになり飲まなくなりました。
- 結果的に、我が子はアイスに混ぜて成功しました!(以下は、M子の子どもが年齢変遷です)
- 2 歳頃~:単シロップは拒否、アイスクリームはOK
- 3 歳頃~:単シロップがOKに復活!
- 4 歳頃~:ムコダインドライシロップやアイス、お湯に溶いてそのままなど範囲広がる
- 同じ子供でも、年齢や性格によって好き嫌いも異なりますので、子供の成長を見ながら色々試してみると、うまくいくものが見つかる場合もあります!
おわりに
M子の子どもは、アイスでとりあえず決着したのですが、いろいろな飲ませ方があるので子どもにあった飲ませかたを少しずつ探してみてください!もしかすると、もっと子供の好みにあった飲ませ方があるかもしれません。
他にも飲み方があれば、随時更新しますね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】- 松本康弘の極める!小児の服薬指導[↩]
- 広瀬滋之[小児科領域と漢方医学][↩]
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