こんにちは、ママ薬剤師M子です。今回は、私自身や周囲で実際に起きた「抗ヒスタミン薬の副作用」に関する体験談をご紹介します。

お子さんのアレルギー症状で抗ヒスタミン薬を使う機会があるママ・パパさん、薬の副作用を見逃さないためのポイントをお伝えします。
前回の記事では、抗ヒスタミン薬の基本についてお伝えしました。この記事とあわせてお読みいただければ理解が深まりやすいと思います。
M子が経験した子どもの抗ヒスタミン薬の副作用について
M子の子どもが経験した抗ヒスタミン薬の副作用
アレルギー体質の娘(現在3歳)は、これまでに以下の抗ヒスタミン薬を服用してきました。
- レボセチリジン(ザイザル)
- オロパタジン(アレロック)
- フェキソフェナジン(アレグラ)
- クレマスチン(タベジール)

お薬手帳を見返してみると、いろんな種類の抗ヒスタミン薬が処方されていました。参考までに一般名(先発名)で書いています。
かかりつけ医が休診日だった日に症状が悪化したりして異なる病院を受診したりすると、いつもと違うお薬が処方されることがありました。
病院ごとに医師の経験なども加味されて、いつもと異なるお薬が処方がされることがありますが、あるとき処方されたクレマスチン(タベジール、第1世代抗ヒスタミン薬)を服用した後、娘の様子の変化が見られました。
最初は、単に体調が回復しないためと思っていましたが、服用するたびに同じ症状が現れたことで、薬の副作用ではないかと気づきました。
医師に相談し、鎮静作用の少ない第2世代のザイザルに変更してもらうと、これらの症状は現れなくなりました。

クレマスチンや第1世代ということに関わらず、個人ごと現れるお薬の副作用には差があるので、クレマスチンは大丈夫だけど、ザイザルでは症状が出た。という方もいるかもしれません。初めて処方される(または、久しぶり)の場合は副作用に注意しましょう!
子供の副作用に気づくのが難しい理由
今回はいつもと極端に違うので気づくことができました。一般的に、大人の場合は「眠気」「だるさ」「集中力低下」などの副作用を自分で認識し、伝えることができます。しかし、小さな子供は
- 自分の状態を言葉で表現できない
- 副作用による変化を、「性格」や「単なるぐずり」と親が誤解しやすい
- 体調不良時は親も余裕がなく、薬の影響に気づきにくい
こうした理由から、子供の薬の副作用は見逃されやすく、長期間気づかれないことも少なくありません。そのため、特に初回~2回目くらいまでは、ママパパは注意深く様子を見ることをお勧めします。

M子の夫も昔からアレルギー体質で、中学生の時に処方されたアレルギーのお薬で眠くなったとき、学校の先生に「お薬で眠くなります。」と正直に言ったところ先生からは「で、先生はどうしたらいい?」と言われ、言い返せなかったそうです。たしかに、学校の先生からはどうしたらいいのかわからないと思います。そして、夫は親には言いづらくて相談できなかったそうです・・大人が伝えられていれば医師も聞く耳を持ってもらえたかもしれませんね。
結局夫は勝手に飲むのをやめて症状がよくならず辛い日々が続いたそうです。中学生くらいに大きくなったとしても、思春期などで親に言うことは恥ずかしいと思うことがあるかもしれないので、注意深く見て、様子が変であれば、次回の診察の時に大人も協力して何に困っているのかを伝えることができる環境を作っていきたいですね。
きょうだい間での抗ヒスタミン薬に関する相談例
ある友人ママから受けた相談(ブログで紹介する旨は承諾を受けたうえで)事例をご紹介します。
きょうだい間でのお薬共有の危険性

おにいちゃん(小1)は花粉症がありケトチフェンを飲んで症状が落ち着いている。下の子もアレルギーがあり、フェキソフェナジンを飲んでいる。下の子の鼻水がなかなか治らないからフェキソフェナジンは効果が弱いみたい。ケトチフェンをこっそり飲ませてみようかなと思っているけど、いいかな?

兄弟でも体重も体質も違うので、新しいお薬をこっそり飲ませるのは危ないですね。それに、同じように見えても、この2種類は性質が違うところがあるので医師に判断してもらった方が安全です。小児科を受診したほうがいいですよ!
ママ友達からのお話には、2つのとてもな危険な点がありました。
- 投与量の不適切さによる副作用リスク
- 年齢や体重が異なるきょうだいでは適切な投与量も異なる
- 過剰投与になれば副作用が強く出る可能性がある
- けいれんリスクの増大
- 今回は話題にあがらなかったのですが、以前も相談を受けていて、下の子には熱性けいれんの既往がありました。
- ケトチフェンは第2世代に分類されるものの、脳への移行性があり、けいれんの既往がある子供では発作を誘発するリスクがあります1
結果的に、医師の判断を仰ぎ、適切な薬に変更してもらったようです。自己判断による抗ヒスタミン薬の使用は、思わぬ副作用を招く恐れがあり、結構怖いです。
抗ヒスタミン薬の副作用から子供を守るためポイント
子どもの抗ヒスタミン薬使用時に確認する役立つポイントをまとめました。
- 服用のタイミングを工夫する
鎮静作用のある薬は、影響が少ない就寝前に服用するなど工夫できないか医師に相談してみましょう。 - きょうだい間での薬の共有は絶対に避ける
「同じ症状だから」と自己判断せず、必ず医師の診察を受けましょう。 - けいれんの既往歴は必ず医師に伝える
てんかんや熱性けいれんの既往歴は、抗ヒスタミン薬選択の重要な情報になるので、必ず医師または薬剤師に伝えましょう。 - 疑問や不安は専門家に相談する
副作用は必ず起こるものではないですが、「服用後のこの動きは?」「眠そうだから別の薬に変えられる?」など、遠慮せず医師・薬剤師に相談しましょう。

今起きている症状に対してのお薬の処方は医師しかできないので、必ず診察する必要があります。ただし、薬局では、今まで飲んできたお薬(薬歴)や既往歴を見て、処方されたお薬が安全に飲めるかを新しい目で確認していますので、医師が見逃してしまった場合には気づけることもあります。病院で伝え忘れたり気になったことは、薬剤師にもぜひ教えてください。
まとめ!子どもの抗ヒスタミン薬副作用に気づくためのチェックポイント
お子さんが抗ヒスタミン薬を服用している際、以下のような変化がないか観察してみましょう。
行動の変化
- 普段より著しく眠たそうではないか
- 活発さの低下がないか
- ふだんより機嫌が悪くないか
- 集中力の低下(特に学童期の子供)がないか
- 反応の鈍さがでてきていないか
身体的な変化
- 口の渇き(特に乳幼児では哺乳量の減少につながることもあります)
- 便秘(抗ヒスタミン薬の抗コリン作用により副作用がでることも)
- まれに、発疹などのアレルギー症状もでることがあります
副作用の記録方法
- お薬手帳に、お薬を飲んだ後に出てきたと思われる症状を記録する
- いつ頃から、どのような症状が出てきたか
- 症状がひどくなる、逆に軽くなってきたなど、変化があればそれもメモしておく

これらの記録は医師や薬剤師への相談時に大変役立ちますので時間があるときでいいので、まとめていただけると助かります。
抗ヒスタミン薬は子供のアレルギー症状を和らげてくれる、ありがたいお薬ですが、正しく使うことが何より重要です。副作用に気づきにくい子供の場合、パパママの観察眼が子供を守る鍵となります。
お薬についてわからないことがあれば、いつでも医師や薬剤師にご相談ください。皆さんの子育てが少しでも安心できるものになりますように。
ママ薬剤師M子


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