こんにちは、ママ薬剤師M子です。今回は子どもの抗ヒスタミン薬を中心に、アレルギー薬について書いていきたいと思います。

鼻水がひどい、くしゃみが頻繁にでる、鼻が詰まって息がしにくいといった、花粉症や鼻炎などによるアレルギーの症状は本当に辛いですよね。
今回の記事への思い
最近では、大人だけでなく小さなお子様の花粉症も増えてきていると感じます。薬局でも、お子様への子供の抗ヒスタミン薬の処方をよく目にします。
このアレルギーのお薬、実は種類が本当に多いです。また、病院によって処方されやすいお薬に偏りがあることもあり、同じような症状なのに違うお薬をだされてしまうなんてことも。それだけ選択肢が多いということですね。
「いろんな名前のアレルギーの薬を出されるが、いまいち違いがわからない?」「副作用が心配…」そんな心配の声を、パパさん・ママさんからよく聞きます。そこで今回は、子供の抗ヒスタミン薬について詳しく解説していきます。
アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜のアレルギー性疾患のことを言います。発作性に繰り返される①くしゃみ、②鼻漏(水っぽい鼻水)、③鼻閉(鼻づまり)の3つが主な特徴です。
アレルギー性鼻炎は発症時期によって以下の2種類に分けられます:
- 通年性アレルギー性鼻炎:ハウスダストやペットの毛などが原因で一年中症状が出る
- 季節性アレルギー性鼻炎:花粉症などの特定の季節に症状が出る

中には併発して、両方の鼻炎をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません・・・
スギ花粉症の例でみると、5~9歳で30%、10~19歳で49.5%と子どもでも早期に花粉症にかかる例があります1
抗ヒスタミン薬とは

抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応で放出される「ヒスタミン」という物質の働きを抑える薬です。この薬によって、以下のようなアレルギー症状を和らげるはたらきがあります。
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 皮膚のかゆみ、じんましん
- むくみ
- 息苦しさ
- お腹の痛み

おなかの痛みも花粉症が原因かもしれません!!
子どもの抗ヒスタミン薬の種類と特徴
子どもの抗ヒスタミン薬は、開発された時期と作用の違いから、大きく2つの世代(第1世代、第2世代)に分けられます。それぞれの特徴と主なお薬をご紹介します。
■第1世代抗ヒスタミン薬の特徴と注意点
つづいて、子どもの抗ヒスタミン薬について第1世代抗アレルギー薬の特徴・注意点・副作用についてまとめてみました。
特徴とお薬の種類:
- くしゃみや鼻水には効果が出やすいが、鼻づまりには効果が出にくい。
- 脳への移行性が高いことによる眠気、めまい、頭痛などが出やすく、車を運転する人、危険な作業をする人には注意が必要。
- 作用時間が4-5時間程度と、持続時間が短いお薬が多い
- 抗コリン作用があるため、喉がかわいたりや尿が出にくくなるなどの症状があらわれることがある。
- ヒスタミンの働きを抑えることで、けいれんを引き起こしやすくなることがある3
- 第一世代抗ヒスタミン薬の種類
- d-クロルフェニラミン(ポララミン)、クレマスチン(タベジール)、シプロヘプタジン(ペリアクチン)があります。

抗コリン作用とは:体内の神経伝達物質「アセチルコリン」の働きを抑える作用のことで、口の渇き、目の乾き、排尿障害などを引き起こすことがあります。
注意点:
- てんかんや痙攣を起こした経験があるお子さんには特に注意が必要です
- 抗コリン作用により前立腺肥大や緑内障、気管支喘息の方は使用できない場合があります
主な副作用:
- 眠気、全身倦怠感(だるさ)、口の渇き、まれに痙攣(特に小児)
生活上の注意点:
- 学校や習い事がある日は特に眠気やだるさに注意が必要
- 運動や外遊びの際は転倒に注意
- のどがかわきやすいため(水分制限などなければ)水分補給をこまめに行う
- 必要なときには朝飲むのをやめて寝る前の内服のみにするか、他のお薬へ変更を医師と相談する
- 小さなお子さんの場合は訴えが難しいこともあるため、ぼーっとしてる・昼寝が長い・寝起きにぐずる・足元がふらつく等で副作用に気づくことがある
■第2世代抗ヒスタミン薬の特徴と注意点
特徴とお薬の種類:
- 第1世代と比べて鼻づまりにも効果が出やすい。
- 第1世代のような脳への移行や抗コリン作用が少なく、眠気やのどの渇きなどが出にくい(薬によって差はある)。
- 効果が出てくるまでに時間がかかるが、作用時間は長い(12-24時間程度)
- 貼り薬があり、内服薬と比べて安定した効き目が得られやすい
- 続けて使用することで症状の改善がより期待できる4
- 小児で使用されることもある第2世代抗ヒスタミン薬の種類と眠気の起こりやすさ
- 眠気が出にくいお薬
- フェキソフェナジン(アレグラ)
- ロラタジン(クラリチン)
- オロパタジン点眼液
- 眠気が出やすいお薬
- エピナスチン(アレジオン)
- オロパタジン(アレロック)
- オキサトミド
- ケトチフェン(ザジテン)
- ケトチフェン点眼液
- レボセチリジン(ザイザル)
- 眠気が出にくいお薬

眠気の有無については今回、添付文書の「8. 重要な基本的注意
8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること(=眠気がかなり出やすい)」「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。(=眠たくなることもある)」の記載があるものには眠気が出やすいお薬、また、添付文書に眠気に関する記載がないものは眠気が出にくいお薬として記載しました。
※眠気の起こりやすさの程度を、ヒスタミン受容体占有率5 というもので比較する見方もありますが、割合が低いものでも実際には眠気が起こることもあるため注意が必要です。
主な副作用:
- 軽度の眠気(薬によって差はあるが傾向として第1世代より少ない)、口の渇き、まれに胃腸障害、薬によっては肝機能障害や心筋障害など
生活上の注意点:
- 飲みはじめは眠気の程度を確認する
- 喉がかわくこともあるので(水分制限などなければ)水分補給を心がける
- 長期間使用する場合は定期的に医師の診察を受ける
薬剤師M子からのワンポイント解説
まとめ
子どもの抗ヒスタミン薬は第1世代から第2世代まであり、新しい世代ほど全体的に副作用が少なくなっていますが、それぞれに長所と短所があります。
第1世代のメリット・デメリット:
- ✅ 即効性がある
- ✅ 古くからあるため使用実績が豊富
- ❌ 眠気が強い
- ❌ 作用時間が短い
第2世代のメリット・デメリット:
- ✅ 眠気が少ない
- ✅ 作用時間が長い
- ✅ 鼻づまりへの効果が高い
- ❌ 効き始めるまで時間がかかる
- ❌ 薬によっては肝臓への負担がある
それぞれの特徴をよく知った上でお子様の生活リズムや症状に合わせた選択が必要です。
小さなお子さんにお薬を選ぶポイントとしては、お子様の年齢や体重、アレルギー症状の程度、日中の活動状況(保育園、学校など)、服用のしやすさ(錠剤が飲めるか、粉薬、シロップなど)、過去の使用経験や副作用歴などがあります。
今回ご紹介した副作用以外にも、少しでも気になる症状があれば必ず医師や薬剤師に相談しましょう。また、自己判断での使用は避け、医師の指示に従うようにしましょう。
抗ヒスタミン薬は、正しく使用することで、お子様のつらい症状を和らげることが期待できます。この記事が、お子様のアレルギー薬への理解を深めるお手伝いになれれば幸いです。
次回は、私自身の抗ヒスタミン薬体験談をまとめてみたいと思います!
ママ薬剤師M子
【参考文献等】- 子どもの花粉症の治療のポイント[↩]
- Therapeutic advantages of third generation antihistamines: Expert Opinion on Investigational Drugs: Vol 7 , No 7 – Get Access[↩]
- 日本小児神経学会 熱性けいれん診療ガイドライン2023[↩]
- アレルギー総合ガイドライン2020[↩]
- 小児耳鼻咽喉科2018 年 39 巻 3 号 p. 275-282[↩]
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