近年、流行していなかった感染症が猛威を振るうニュースをよく耳にします。M子家もご多分に漏れず「マイコプラズマ肺炎」に娘が感染し入院してしまいました。
思い出すのも少し辛いくらいの日々でしたが、今はすっかり治って元気に遊び回っています。
ママ薬剤師M子として、普段は薬の情報を中心に発信していますが、今回はマイコプラズマ肺炎の入院体験を記事にしました。入院中参考になる情報が少ない(体験談があまりない)と不安になることがあったので、ひどくならないのが一番ですが、他のママたちの支えになれれば幸いです。
まさか我が子がマイコプラズマ肺炎で入院!? 軽い咳から始まった闘い
9月の中旬、アレルギー持ちの娘が、定期的に受診しているかかりつけの小児科さんへ、少し咳をしていたため受診しました。
すると、「最近マイコプラズマ肺炎も流行っているし、幼稚園でも流行っているようだから、今はひどくないけど元々が抵抗力が弱いから抗生物質を出しておきましょう」と、オゼックス(一般名:トスフロキサシン)とアレルギーのお薬が処方されました。
マイコプラズマ肺炎には、マクロライド系のクラリスロマイシンやニューキノロン系のオゼックスが幼児に処方されることが多いです。
そしてクラリスロマイシンの粉は、ほとんど何に混ぜても苦いです(汗)。オゼックスはまだ苦い中にも甘みがあります。
味の問題ではないのですが、せっかく処方されたのに飲むことができないと症状が悪化してしまう可能性もあったので、飲んでくれそうなお薬ということで一安心しました。(お薬については後半で少し詳しく説明しています)
ちゃんとお薬を飲んでも悪化する症状と緊急入院
入院までを時系列で処方されたお薬とともにまとめました。
- 9月中旬咳が出始める
園に通っていると周りの子が咳をしていてチラホラ、マイコプラズマ肺炎で休んでいるという噂を聞く。M子娘の咳に対しても、マイコプラズマを懸念し、オゼックス(5日分)が処方される。
- 10月上旬熱、咳がひどくなる
オゼックスを飲み終わってしばらくたったころに、38度台の発熱と痰絡みの激しい咳がでてくる。そのため、オゼックス2日分追加と、気管支を拡げるお薬とステロイドの吸入薬が処方される。
- その次の日元気が無くなる
ご飯もほとんど食べられず、咳がさらにひどくなり続けたため、再度病院受診。レントゲン撮影で、気管支炎の状態がみられ、咳を少しでも鎮めるため麦門冬湯を追加処方される。
- その日の夕方酸素飽和度(SpO2)が下がり始める
SpO2の値は、それまで98-99程度で推移していたが、苦しそうに見えたので自宅で測定したところ95前後になり始め、不安になり当日再受診。気管支炎の像があったため、プレドニンを追加処方される。SpO2が94を切った場合は再受診するように言われる。
- その次の日酸素飽和度80台に
どんなに体勢を変えて寝かせてもゼーゼーという苦しそうな音と、ネコが喉を鳴らすような音がしていたため、SpO2の値を測定したところ89付近と下がっていた。明け方近くだったので朝一番に小児科を受診し、当日入院となる。
時系列でまとめてみましたが、日に日に、そして、最後の方は数時間毎に体調が変化していきました。明け方、酸素飽和度が低すぎて、このままでは酸素が取り込めなくて大変なことになってしまうと思い、慌てて夫を起こしました。
我が家で使っているパルスオキシメータです。コロナが流行ったときに購入していたのですが目安として役に立ちました。
今思えば、はじめからしっかりした抗生剤を出していだだいていたので、小児科の先生はこれ以上はできることは少ないと思われていたかもしれません。(薬の種類を見返しての思いですが)心配して繰り返し受診してしまいましたが、親身に変化に応じて対応いただき、ありがたかったです。
マイコプラズマ肺炎での入院へ
入院可能な病院へ連絡してもらい、早速、レントゲンの撮影と血液検査をしました。レントゲンの所見で肺炎が認められ、血液検査では、炎症の度合いを示す値であるCRP値が「9mg/dL」(大人は0.3mg/dLですが、子どもは年齢で異なります 1 。それにしても、基準値よりも大分高い値だと言われました。
病院の白いベッドの上で、点滴に繋がれ、数日前とは一変して苦しそうに呼吸をするこれまでになかった娘の姿を見て、私は、ただただ不安でいっぱいでした。
今回、M子娘は生まれてから5回目の入院でした。もともと基礎疾患をもっていて抵抗力が弱い娘。以前もRSウイルスによる肺炎や、アデノウイルスによる感染症で入院したことがありました。その中でも今回はとくに、不安や辛いことが続いた入院生活でした。
不安・辛いことが何だったかと言いますと、主に以下の4点でした。
- ①点滴の治療を始めてからも、咳・痰などの症状がなかなか回復しなかった
- ②肺炎でも、SpO2(酸素飽和度)値が90を下回ったのは初めて
- ③痰の吸引時の流血が多く痛々しくて、痰吸引の呼び出しボタンを押すのが怖かった。
- ④入院前に苦いお薬(プレドニン)を処方され、好きだったお薬を全く飲まなくなってしまった。
この続きは少し感想多めで長いので次回まとめたいと思います。
マイコプラズマ肺炎でよく処方される抗生物質について
今回M子娘はマイコプラズマ肺炎で入院したので、入院時は別系統の抗生剤などのお薬を点滴されましたが、外来処方でよく処方されるお薬についてせっかくなので、以下に簡単にまとめてみました
小児のマイコプラズマ肺炎では、抗生物質が必要かどうかは医師の判断になりますが、重度の肺炎になる確率は5~10%未満 2 と言われ、抗生剤を処方されないケースもあると聞きます。(薬剤師は、処方されたときにしか症状が聞けないので感覚値です)
代表的なものについてご紹介したいと思います。
マクロライド系抗菌薬
小児で処方されることが多いのが、クラリスロマイシンやエリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が第1選択3だそうです。
ただし、マクロライド系には薬剤耐性菌があり、地域や今までの服用歴などから判断して、選択肢から外れることもあります。マクロライド系は10日間服用することが推奨されていますが、マクロライド系で代表的なクラリスロマイシンは特に味が苦く、先生によっては小さいお子さんが10日間も飲みきるのは難しいと思われることも多いようです(必要なので処方されることはもちろんありますが)。
途中で飲まなくなると効果が出ないだけでなく、薬剤耐性を生んでしまう恐れもあるのが、抗生剤の怖いところですね。
ニューキノロン系抗菌薬
小児のマイコプラズマ肺炎に対して使用できる唯一のニューキノロン系抗菌薬として、トスフロキサシン(オゼックス)があります。今回M子娘はこちらのお世話になりました。
こちらは、幅はありますが、推奨される服用期間は7日~14日間です。症状によってになりますが、マクロライド系より服用期間を短く処方することも可能な抗生剤でもあります。また、小児用のトスフロキサシンは甘く大人が試しに舐めても充分苦みをコーティングしてくれているお薬で、飲みやすいです。(味はM子の感想です)
(8歳未満は禁忌)テトラサイクリン系抗菌薬
M子家では、全員8歳未満なので今回選択肢にあがりませんでしたが、8歳以上ではテトラサイクリン系抗菌薬であるミノサイクリンも使用される事があります。
通常は、これらのお薬をいずれか、またはマクロライド系が効果が薄かった場合にニューキノロン系抗生物質が利用されます。
M子娘はニューキノロン系抗生物質だけでしたが、十分に強いお薬のはずが効かずに悪化したこと、および重症度から入院となりました。
次回予告
次回は、先ほども書いたとおり入院時に不安だったこと、乗り越えたことについて書いていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。だれかの支えになれますように。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】
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