経口補水液を理解して暑い夏を乗り切ろう! 【ママ薬剤師M子】

OTC・一般薬
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こんにちは、薬剤師M子です。 今回は暑い夏によくCMなどでも目にする経口補水液(有名どころではOS-1など)について詳しく解説していきたいと思います。

ママM子
ママM子

経口補水液というと難しいですが、「OS-1」や子供用の「アクアライトORSについても解説していきます。M子もアクアライトを常備していますが、最近どこにいっても「りんご味」は売り切れで節約しながら利用しています。

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経口補水液って具体的にどんなもの?

名前は聞いたことがあるが、いまいち使い勝手がよくわからないまま、あまりおいしくないスポーツドリンクのような存在になっている方も多いのではないでしょうか。 

実はこの経口補水液、病気の人に効果的だったり、注意しなければならないこともあったりします。 

今回、お薬ではなく食品扱いの経口補水液ですが、薬局でも質問されることがあります。今回、参考になれたらと、記事にしてみました。 

経口補水液とは? 

まず、経口補水液 (ORS:Oral Rehydration Solution) と似た言葉に、経口補水療法 (ORT:Oral Rehydration Therapy) という言葉があります。

これは、脱水症を改善したり治療したりするために、水や電解質(ナトリウムやカリウムなど)を口から補う治療方法のことを言います。そしてそのとき推奨されているのが、いわゆる経口補水液 (ORS)です。 

M薬剤師
M薬剤師

主に脱水症状を治療するときに使われるのが経口補水液です。

経口補水液(ORS) は、小児の軽度~中等度の脱水状態に推奨されています。1)また、子どもに限らず大人でも熱中症により生じた脱水症に対して経口補水療法(ORT)を行うことが推奨されています。 2 

※小児の軽度から中等度の脱水3 とは・・・ 

軽度の脱水:口の中の乾燥、のどの渇きが強い、小児のおしっこの回数が減る 

中等度の脱水:相互に関わることや遊びの量が減る、口の中の乾燥。おしっこの回数が減る。中等度から高度の脱水になると、心臓がどきどきたりふらつくなどの可能性がある 

M薬剤師
M薬剤師

わかりやすいのは、おしっこの変化です。おしっこの色が濃い(黄色い)、ニオイが強い、回数が減る、舌も乾いていることがあります。その場合、すでに中等度の脱水かもしれません。

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経口補水液=病者用「食品」の一つ!

経口補水液

 経口補水液は、特別用途食品のなかの個別評価型病者用食品として認可されているものだけでしたが、M子はあまり認識がないのですが、「経口補水液と誤解させるおそれがあるもの」が多数市場にでたことで健康増進法第65条第1項(誇大広告の禁止)に違反する商品があったようです。そのため、令和5年に「許可型の病者用食品」の区分に「経口補水液」が設定されました。 4 

病者用食品であるため、医師や薬剤師、栄養士さん等と相談して使用することが勧められています。

病児用食品マーク

↑経口補水液の基準をクリアした製品は、上記のロゴマークがついています。 

M子先生
M子先生

最近は、経口補水液と似た清涼飲料水が多数販売されているので、このロゴマークで区別することができます。 消費者庁も誤認するような表示を行わないよう注意喚起を行っています

経口補水液はいつから活躍している? 

1970年台に、インドの難民キャンプでコレラの大流行が起こった際に、経口補水液を使用することで死亡率が大幅に減らすことができ、脱水症治療として本格的に経口補水液が注目され始めたそうです。「世界的に有名な医学雑誌Lancet(TheLancet, 1978)」の中で、「20世紀最大の医学上の進歩」とも述べられています。 5 

経口補水液に関してよく聞かれる質問!

ここからは、薬局で聞かれた経口補水液に関する質問について主なものを解説してみます!

経口補水液は値段が高いから、スポーツドリンクではだめ?

スポーツドリンクはスポーツをしたときの発汗により失われたナトリウムと水の補給と、エネルギーの補給を目的としているものがほとんどです。電解質も配合されていますが、経口補水液よりは少なく、糖分が多く含まれています

経口補水液は、発熱や下痢、嘔吐、熱中症などにより脱水症状の回復を目的としており、水分や電解質吸収を速やかにできるよう、糖分は配合されているものの、スポーツドリンクよりは少なめです。

M子先生
M子先生

状況に応じて、エネルギーも補給したい場合にはスポーツドリンクが適している場合もありますが、脱水状態があるときには経口補水液の方が適しています。しかし店頭にスポーツドリンクしかない場合には、命を救うため、迷わず購入してください。

子供用のアクアライトとアクアライトORSの違いは?

「アクアライト」と「アクアライトORS」は、どちらも乳児用のイオン飲料ですが、アクアライトORSは、経口補水液の基準をクリアした成分設計になっており、アクアライトに比べてナトリウム多め、糖分少なめの組成です。

そのため、「アクアライトORS」のほうが水分の吸収しやすさが勝っており、下痢や高熱、熱中症などによる脱水状態に、より適しています。また、使用されている糖分が、大人用のORSはブドウ糖であるのに対し、アクアライトORSは味の受け入れやすさの点からショ糖が使用され、より口当たりが良く乳児が飲みやすい味に工夫されています。

M子
M子

アクアライトは適切な量では乳児の水分補給に適しているためとてもありがたい製品だと思います。(M子も利用させていただいています。)

が、実は糖分も多く含まれるため、摂りすぎには注意が必要です。(幼児の1日量目安300mL~600mLで換算すると、3gのスティックシュガー5.5本~11本分になります)。

ただし、見るからに子供が元気がないなど、脱水状態のおそれがある時には、十分な量を躊躇なく飲ませることも必要だとM子は思います。(その後も元気のなさが続くようであれば、医療用の点滴が必要なこともありますので、医師の診察を受けてください)

経口補水液は熱中症だけ?

経口補水液は、熱中症の時にも使用されますが、その他、下痢や嘔吐、高熱などによる脱水症のためにも用いられます

ナトリウムやカリウムなどの電解質が多く含まれているので、普段の水分補給として使用するものではありません。とくに腎臓や心臓、糖尿をお持ちの方は、脱水状態にある場合でも体に負担がかかる場合があります(一般的な話ですが、ナトリウムを摂りすぎると、体から排泄するのに2-3日かかると言われています)ので、高血圧や腎臓病などなんらかの内臓に持病をお持ちの方は、医師や薬剤師の指示を仰がれることをお勧めします。

病者用食品マークがついていればどれも同じ経口補水液なの?

病者用食品のマークがついていれば、同じ経口補水液とは限りません。病者用食品は特別用途食品に位置づけられていますが、特別用途食品には、「許可基準型病者用食品」と「個別評価型病者用食品」があります。

経口補水液は、「感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を原因として”脱水症”」の効果が認められていますが、すべての経口補水液が、「脱水症(熱中症だけでなく、下痢・嘔吐などが中心のため)」に対する効果が医学的、栄養学的に明らかにされているとは限りません(法改正により、それらのものは令和7年5月以降は経口補水液と名乗ることが違法となりますが、令和6年8月現在ではまだ可能なので注意。)

そして、その「脱水症、または、熱中症」に対する効果の根拠が明らかにされているという食品として消費者庁が許可したものが、「個別評価型病者用食品」です。

M薬剤師
M薬剤師

細かいですが、「脱水状態」と「脱水症」は異なり、「症」がつくものは医師の診断がついたものです。今回の「許可型」は「感染性胃腸炎による脱水状態時に用いる」のみが許可事項になります。

本記事執筆時点(令和6年8月)で、

  • 許可型は4種類(明治アクアサポート、GOSHU経口補水液脱水対策、クラシエの経口補水液、スムーズイオン経口補水液)あります。
  • 特別用途食品の個別評価型で経口補水液のグループは9種類(オーエスワン(OS-1)シリーズ、アクアライトオーアールエス、経口補水液ジーオーエス、アクエリアス経口補水液ORS)あります。
    • 特別用途食品の許可項目は、各製品毎に異なるため、ラベルをよく読まれることが望ましいです。

熱中症で経口補水液を購入される場合には、この「個別評価型」の表示を確認されてから購入されることをお勧めします。

次回予告

次回は、経口補水液の薬剤師目線でのまとめ、メリット・デメリットなどを書いていきたいと思います。

予告なので変更があるかもしれませんが、

  • 経口補水液(OS-1(オーエスワン)など)は1歳児に与えていいの?
  • 経口補水液(OS-1(オーエスワン))とポカリスエット・アクエリアスの組成はどう違う?
  • 経口補水液(OS-1など)はコンビニで買える?
  • 経口補水液は糖尿病の人ものんで大丈夫?

などを書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ママ薬剤師M子

【参考文献等】
  1. 米国疾患管理予防センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)のガイドライン (MMWR, 2003[]
  2. 熱中症ガイドライン2015[]
  3. MSDマニュアル家庭版[]
  4. 消費者庁[]
  5. Jpn. J. Biometeor.52(4): 151-164, 2015[]

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