「ロキソニン」と「カロナール」って何が違うの?(カロナールの効き目について)【薬剤師作成】

処方薬
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こんにちは。マミムメデイ薬剤師M子です。

前回の記事で、“「ロキソニン」と「カロナール」って何が違うの?(効き目と飲み方について)”について記事で「カロナールの痛み止めの効果も捨てたものじゃない!」部分について触れていきたいと思います!

前回の記事はこちら

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カロナールの服用量について

カロナールの服用量について、”カロナールを痛み止め”として使う際の量は日本では海外よりも少ない用量で処方されてきました。

以前は海外より少ない投与量である、”上限「1回500mgまで、1日1500mgまで」”が定められていました。現在は、低用量では効果が出にくいということと、ある程度多い量を飲んでも副作用は出にくいということがわかり、2011年1月に、海外に合わせた用量の上限「1回1000mgまで、1日4000mgまで」になっています。*1もちろん、多すぎる場合には肝臓に負担がかかりやすく、限度はあります*2

カロナールを十分量飲めば、アスピリン(アセチルサリチル酸、バファリンの有効成分)と同じくらいの痛み止めの効果が得られることもわかっています。*3ですから、ロキソニンなどのNSAIDsほど強くなくても、軽度から中等度の痛みに対しては十分有効だと言われています

ただし今でも、低用量の時代が根強く影響し、医師の考え方にもよりますが、カロナールの量が若干低用量で処方される場合があります。こうなると、せっかく服用したのに、痛みがとれにくいといったこともあり得ます。

カロナールの痛みをとる量としては、「1回300mgから1,000mg」と、とても幅広いです。例えばカロナールが1回500mgで出たとして、痛みの取れ方が弱いようであれば、医師に少し増量を提案してみるか、薬剤師に相談してみても(薬剤師が気づけるのが一番なのですが)良いかもしれません。

悲しいのは、少し量を増やしただけで痛みが取れたかもしれないのに、カロナールという、副作用が少ないお薬の選択肢がなくなってしまうことだと思います。

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ちょっと難しい学会でのカロナールの話

ここで、カロナール(アセトアミノフェン)の量を増やすことで鎮痛効果が得られた報告が、慢性疼痛ガイドライン20214で示されていました。もっとも、痛みの種類によっては、カロナールが推奨される場合、ロキソニンなどのNSAIDsが推奨される場合があることも論じられていました。一部を抜粋します。

緊張型頭痛に対するアセトアミノフェンの有用性を検討したシステマティックレビューによる、頻発反復性緊張型頭痛(頭痛の頻度が1か月に1回以上15回未満)に対する急性期の対処として、アセトアミノフェン1,000mgは、プラセボに比べて2時間後に痛みが消失あるいは警戒する割合の差は9.8%(RR 1.21, 95% CI 1.15-1.28)で有意に軽快するのに対して、アセトアミノフェン500-650mgの投与では、プラセボに比べて改善する割合の差は、5.8%(RR 1.11. 95% CI 0.90-1.37)であり、有意な改善を得られなかった。 アセトアミノフェン1,000mgの内服で、副作用の発生率のプラセボとの差は1.4%(RR 1.12. 95% CI 0.94-1.32)で有意な差はなく、実臨床の有用性も高い。

CQ C-2:アセトアミノフェンは慢性疼痛に有用か?

Ans:アセトアミノフェンは、運動器疼痛(腰痛と変形性関節症による痛み)に対する効果を示すエビデンスに乏しく、有用性は明確ではない一方、緊張型頭痛と片頭痛に対しては有用である。重篤な副作用はまれであるが、高容量投与による肝機能障害に注意が必要である。

CQ C-1:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は慢性疼痛に有用か?

Ans:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は慢性腰痛と変形性膝関節症に対して痛みと身体機能を改善するが、慢性腰痛ではその効果は小さい。線維筋痛症に対しては改善効果がない。選択的COX-2阻害薬であっても、上部消化管、心血管系の副作用の危険性があるため、漫然とした長期投与は避ける。

慢性疼痛ガイドライン2021, 日本慢性疼痛学会

いろんな結果が論じられていますが、、そもそもの痛みの種類によって、効きやすい鎮痛薬の種類も異なることは事実のようです。「カロナール」はとくに頭痛に、「ロキソニン」などのNSAIDsは腰痛などの運動器の疼痛により・・効果が期待できそうですね。

ロキソニンとカロナールの作用の図
M子
M子

残念ながら、ある程度の痛みを我慢するのが当たり前、そのうち痛くなくなる、痛み止めは副作用を減らすようになるべく間隔をあけて、のような考えで処方されている場合も、あるのではないかと調剤をしていて思うことがあります。

痛みのお薬とM子の考え


今回は、「カロナール」に焦点をあてましたが、痛みがとれないということは、投与量にかかわらず、痛みにあった薬がそもそも処方されていない可能性も考える必要があると思います。

もし、「カロナール」をうまく使って痛みが取れれば、お薬代も、他の痛み止めほどかからず、NSAIDsで見られるような胃腸障害、腎臓や心臓への有害な作用といった副作用のリスクも下がるので、うれしいことですね。

痛みは様々な原因で起こりえますし、それぞれの痛みに効く薬も様々です。
もし、痛みがとれずに痛みをずっと我慢していると、逆に痛みが取れにくくなったり、痛みが強くなったりすることもあるのです。これをワインドアップ現象と呼びます。5なので、痛みを放置せず、安静にしてもおさまらない場合には、ぜひ診察を受けて欲しいです。

ママM子
ママM子

痛みは取れなければ意味がないと思っています。効果と副作用のバランスを見ながら、良い着地点に到達できるといいなと思っています。

私の経験談ですが、病院薬剤師時代に、がん・・からくる痛みのある方、手術を行った方で術後に痛みがあるなど、多くの痛みを抱えた方と接してきましたが、痛みが和らぐと人が変わったように笑顔を見せてくださいました。それほど、痛みは身体的、精神的にも負に影響していたのだと思います。必ずしも薬でとれない痛みがあるのは事実で、軽度~重度ありますが、少しでも和らぐ方法が見つかると嬉しいです。

以上、普段何気なくもらう薬を、もっと効果的に使って、痛みを忘れて楽しく過ごせるといいですね!

最後までお読みいただきありがとうございました。

薬剤師M子

参考/参照文献

  1. 鹿児島医師会(2011). 鹿児島市医報 第50巻12号(通巻598号)
  2. カロナールインタビューフォーム(閲覧日:2023/03/28)
  3. Jpn Jpn J Pharmacoepidemiol,17(2) Dec 2012:79
  4. http://mansei-toutsu.umin.jp/file/mansei-toutsu_GL_J_2021.pdf
  5. 中枢性感作の評価 神経治療36:505-507,2019

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