“ヒルドイド”の主成分と添加物について詳しくお伝えします【ママ薬剤師M子】

no20-3_moisturizer_hp_mko_icat OTC・一般薬
この記事は約7分で読めます。
スポンサーリンク

今回は、ヒルドイドの主成分と添加物についてです!

M薬剤師
M薬剤師

お医者さんから処方される薬なので特に主成分など気にすることは無いかもしれないですが、OTC(薬局などでも買える医療用成分が含まれるお薬)では、主成分が商品名になっていたりするので、併せてお読みいただけるとドラッグストアなどに行かれた際も分かりやすいかなと思います。

前回までは、ヒルドイドの効果や塗り方などについて書いていますので、併せてお読みいただけると嬉しいです。

スポンサーリンク
ご訪問ありがとうございます。当サイトは一般的な情報を基にM子の知見を加味して書いております。また、免責事項をよくお読みの上、当サイトをお楽しみください。

ヒルドイドの主成分と副作用について

h2_benefit_and_risk

では、さっそくヒルドイドの主成分について書いていきたいと思います。ヒルドイドの主成分の名前は、「その名前はどこから来たんだ?」というくらい違う、「ヘパリン類似物質」という名前です。

M子先生
M子先生

ヒルドイドにかかわらずですが、薬には必ずベネフィット(効果)とリスク(副作用等)があります。副作用とだけ聞くと怖いですが、何も知らなくて重篤な症状を引き起こす方がもっと怖いとM子は思っておりますので、効果だけでなく副作用も書いていきます。

①ヒルドイドの主成分による副作用 

ヒルドイド(主成分:ヘパリン類似物質)は血液を固まりにくくする作用があるため、出血しやすい病気をお持ちの方や、傷口などには使用できないことになっています。 

他にも、頻度は低いまたは頻度不明ですが、発赤、皮膚炎、塗った場所が痣のような色になる(紫斑)、刺激感などの皮膚の症状が出ることがあるため、その際には使用をやめて何らかの処置を行う必要があります。

気になる症状が出たり、皮膚の状態が悪化したりした場合などには、使用をやめて早めに受診するようにしてくださいね1 

②ヒルドイドの添加物による接触皮膚炎 

医薬品における添加物とは、日本薬学会で以下のとおり解説されています。

製剤に含まれる有効成分以外の物質。製剤化を容易にする、品質の安定化を図る、有用性を高めるなどの目的で、ほとんどすべての医薬品に添加されている。用途により、賦形剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、着香剤、溶解補助剤、着色剤、粘稠剤などと呼ばれる。これらは製剤の投与量において薬理作用を示さず、無害でなくてはならないが、アレルギーなどの有害反応を引き起こすことがあるので、注意を要する。

医薬品添加物 | 公益社団法人 日本薬学会 (pharm.or.jp)

その中でも、塗り薬で起こりやすいアレルギー反応に、接触皮膚炎というものがあります。 

“一般的”な話になりますが、クリーム剤や液剤など、塗り薬のタイプによっては、微生物が繁殖しないように防腐剤などの添加物が含まれていることがあります。それにより皮膚を刺激してしまい、ときに接触皮膚炎を引き起こしてしまうことが報告されています。2 

接触皮膚炎とは、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気3です。今回は、ヒルドイド(ソフト、クリーム、ローション、フォームの4種類)の中に接触皮膚炎を生じる可能性が報告されている医薬品添加物をご紹介します。 各添加物については、M子のお薬辞典にまとめてありますのでよければご確認ください。

添加物を配合するのには必ず理由(メリット)があります。同じ主成分の商品でも、製品や種類によって添加物が異なることがあり、医師と相談の上、種類を変更できることもありますので、迷った場合は、ぜひ医師・薬剤師に相談してみてください。

接触皮膚炎を起こしやすい、ヒルドイドに含まれる主な添加物4
  • 基剤(主な効果を期待する薬の成分を溶かして皮膚に浸透させる役割をもつもの)
    • ラノリン
      • クリーム、ローションに含まれる
    • セタノール(ステアリルアルコールなども含む)
      • クリーム、ローションに含まれる
    • ミツロウ
      • ソフトに含まれる
  • 防腐剤
    • パラベン(パラ安息香酸エステル)
      • ソフト軟膏、クリーム、ローション、フォームに含まれる

ヒルドイドの主成分、かつ/または、医薬品添加物による接触皮膚炎にも注意しておく必要がありそうですね。新しいお薬を使うときだけでなく、軟膏タイプからローションタイプなどに変更したときにも、使い始めは注意した方が良いかもしれません。 

M子先生
M子先生
  • 参考までに、軟膏に近い性質をもつ塗り薬の方が皮膚への刺激が少ないため、副作用は少なめであることが多いと言われています。
  • ヒルドイドソフトとヒルドイドクリーム、どちらも白色で同じクリームみたいですが、ヒルドイドソフトの方が、より軟膏に近い製剤(油中水型と呼ばれます)です。ヒルドイドに関しても、軟膏に近い性質をもつヒルドイドソフトの方が、皮膚への刺激が少なく、副作用は出にくいと言われています。 

ヒルドイドの副作用/添加物について説明してきましたが、ヒルドイド自体は比較的安全性は高く、0歳の赤ちゃんから高齢者まで幅広く用いられています。 

さらにヒルドイドには、血液を固まりにくくする作用の他にも、血流を改善する作用、血の塊を消失させる作用、皮膚の角質の水分を保つ作用など、沢山のありがたい作用を併せ持っており、保湿以外の様々な分野でも大活躍しているお薬です。 

スポンサーリンク

子どもにヒルドイドを使うときのM子的特徴・注意点まとめ 

今回のお話から、ヒルドイドの特徴と、子どもにヒルドイドを使うときの注意点をまとめてみます。 

ヒルドイド使用時のポイント!
  • ヒルドイド使用時の大事なポイント
    • ヒルドイドは種類が複数あるので、季節や症状にあったものを選ぶことができる。
    • ただし、適切な量や回数を、適切な方法で塗らなければ効果が出にくいこともあり、指示された回数を守り、皮膚がテカってくっつくくらい、気持ち多めを心がけると良い。 
  • ヒルドイドのプラスポイント
    • 安全性が高く、どの製剤も差はあるが、ワセリンなどの保湿剤と比べると伸びがよく浸透性も良い。べたつかず保湿力も高い。 
  • ヒルドイドの気をつけるポイント
    • 出血素因のある方や、ただれているところ、傷口、眼には使用できない。目に入った場合にはすぐにきれいな水で洗うか、医療機関を受診する。
    • ヒルドイドを初めて使うときには皮膚症状の経過に注意し、万が一赤くなったり症状が悪化したりするようなことがあれば使用をやめて早めに受診する。 
    • ヒルドイドで皮膚症状が悪化したお子さんに他の塗り薬を試すときには(逆のパターンでも)、添加物で同じものが使用されていた場合には注意して経過を見ておく方が良い。 
M薬剤師
M薬剤師
  • ヒルドイドフォームは、他の同じ成分で発売されている泡フォーム製品と使用方法が全く異なることがあるため、初めて使用する時にはしっかり使用説明書を読むか薬剤師から説明をよく聞くようにしてください。
  • ヒルドイドフォームは、容器を上向きにしてよく振って使用する必要があり、缶タイプなので廃棄方法も特殊です。かたや、他のヘパリン類似物質の泡スプレーは振る必要がなかったり、廃棄方法も異なっていたりします。 

さいごに 

最終的には、使用方法も含めて、好みに合った、効果が実感できるお薬を使用できることが一番ですね。 

そして、一日の最後に、お風呂では、肌にやさしい石けんをよく泡立てて、できれば素手でやさしくお子さんの体を洗い、汚れや、塗っているお薬も一度落としてあげてくださいね。そうすることで、お子さんの肌に優しい上、清潔が保たれ、親も子供の肌の変化を感じ取りやすいです。 

肌の乾燥や荒れがおちつき、夜も安心して眠れますように。 

今回は、ヒルドイドの主成分と副作用について最後までお読みいただきありがとうございました。

次回は、プロペト(ワセリン)についてのお話を書きたいと思います。 

ママ薬剤師M子 

【参考文献等】
  1. ヒルドイドソフト軟膏0.3%,ヒルドイドクリーム0.3%,ヒルドイドローション0.3%,ヒルドイドフォーム0.3%添付文書[]
  2. 第14改訂調剤指針[]
  3. MSDマニュアル[]
  4. 接触皮膚炎診療ガイドライン2020より抜粋[]

コメント

タイトルとURLをコピーしました