M子の子どもたちは湿疹がよく出るのでヒルドイドとプロペトはお守りのように、よく使っています。
我が家と同じように、子供の肌トラブルに苦労したことがあるママさんは多いのではないでしょうか?今回は、そんな悩みを解決できるように、保湿剤としても処方されることがある、ヒルドイドとプロペトについて解説していきます。
・病院によって処方されるお薬の名前、形状が色々あるけど、実際、違いがよくわからずなんとなく使っている
・使っているけど、肌の調子が劇的によくなったとも思わない。
などの場合に、どのように使い分けるのかなどをお伝えできればと思います
ヒルドイドとプロペトの基本を解説します!
「ヒルドイド(写真はヒルドイドソフト)」「プロペト」どちらも、一般的な保湿剤として有名な医療用医薬品です。そして、どちらの成分に関しても、成分の比率や純度、添加物等異なることもありますが、OTCとしても広く販売されています。
それぞれの成分は、
ヒルドイド・・・ヘパリン類似物質
プロペトは・・・白色ワセリン
と、なっています。
プロペトは、日本薬局方の白色ワセリンの規格に適合するともに、眼科用にも用いることができる純度の高いものになります。
比較のために、両者の添付文書を抜粋すると、
白色ワセリン | プロペト | |
---|---|---|
組成 | 有効成分:1g中/ [白色ワセリン] /1g 添加剤:1g中/[ジブリルヒドロキシトルエン(抗酸化剤)]/0.01mg | 有効成分:1g中/ [白色ワセリン] /1g 添加剤:1g中/[ジブチルヒドロキシトルエン(抗酸化剤)]/0.01mg |
製剤の性状 | 剤形:全質均等の軟膏様の物質で、においおよび味はない。 | 白色~微黄色の全質均等の軟膏様物質で、においおよび味はない。水またはエタノール(95)にほとんどとけない。加温するとき透明な液になる。 ・プロペトは日本薬局方白色ワセリンの規格に適合するとともに眼科用基材として適切な物性を有する。 (以下略) |
効果効能 | 軟膏基剤として調剤に用いる。また、皮膚保護剤として用いる。 | 眼科用軟膏基剤、一般軟膏基剤として用いる。また皮膚保護剤として用いる |
基本的に眼科用の目的で用いることができるか否か以外で、効果として大きな違いはありませんが、使い心地としては、白色ワセリンは固め、プロペトは柔らかくて伸びが良い印象です。
保湿剤としての効果効能
保湿とは
まずはじめに、「保湿」ってよく使うけど、どういう意味なんでしょうか?
保湿剤
皮膚外用療法の原則 – 14. 皮膚疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)
保湿剤(皮膚軟化剤)は,皮膚に水分と油分を取り戻し,皮膚の水分保持に役立つ。(以下、略)
MSDマニュアルから保湿剤の定義を引用してみました。そこから考える、保湿とは「皮膚に水分と油分を取り戻し、皮膚の水分を保持すること」と読めます。そして、ヒルドイドとプロペトの効能効果にはこう記載されています。
プロペト・・・皮膚保護剤
ヒルドイド・・・皮脂欠乏症
どちらも、皮脂の不足を補ってくれたり保護してくれたりして、潤いを保ってくれそうな記載です。
一見、同じような作用に思えますが・・実は、作用の仕方は異なります。
ヒルドイドとプロペトの違い
ヒルドイドの場合
一言で言えば、水分を保ってしっとり
ヒルドイドの成分である「ヘパリン類似物質」は、水と仲の良い構造を沢山持っており、周囲の水分を集めることで皮膚の保水力を高める(モイスチャー効果と呼ばれます)保湿剤です。
さらにヘパリン類似物質は、「血行をよくする作用、炎症をしずめる作用」もあり、保湿剤以外の用途でも、アトピー性皮膚炎やケロイドの治療、しもやけなど治療と併せて使われることが多いという特徴があります。
また、周りの水分を集めるため保湿効果としては、プロペトと比べると高いです。
プロペトの場合
一言で言えば、皮膚をやさしく保護してくれる、純度の高い白色ワセリン
白色ワセリンは、水分を保つ作用はありませんが、皮膚に皮膜を作ることにより水分の蒸発を防ぎ (エモリエント効果と呼ばれます) 、外部からの刺激から皮膚を保護してくれる働きがあります。
先ほども書きましたが、お薬として用いられる際、皮膚保護剤(手足のひび、あかぎれ、皮膚の荒れなど)としての作用の他に、軟膏を調剤する際の一般用基剤としても用いられます。それに加えて、プロペトは純度が高いので、眼科用の基剤としても用いられます。 123
白色ワセリンの身近な一般用の製品としては、 昔からあるメンソレータムのリップにはプロペトの基になっている白色ワセリン(ものによっては黄色ワセリンが使用されています)が使用されており、イメージつきやすいと思いますがカサカサの唇を乾燥から守ってくれます。4
保湿剤と聞くと、同じようなものと思ってしまいがちですが、プロペトとヒルドイドでは、作用の仕方が全く異なるのですね。
イメージにすると以下のような感じです。
M子家の使用感の紹介
製品の大まかな紹介をしてきましたが、ママとして実際に我が子に使った経験から、使い分けの必要性を実感した事例がありますので紹介したいと思います。
- その1症状の発生
手を自分でしっかり洗うようになり、成長を嬉しく思っていました。ところが、手首のしわに拭き取れずに残っていた水分が悪さをしたのか洗いすぎてしまったのか、手首に赤い湿疹のようなものができたことがありました。
- その2皮膚科受診
皮膚科に行って、専用の薬(ステロイド)をもらって塗りましたが、数日たってもなかなかよくなりません。
また、保湿は気温や部位で自由につかい使い分けて良いと、プロペトとヒルドイドどちらも処方してもらっていました。
- その3あるときに・・・
そのときはプロペトを保湿で使っていました。しかし、皮膚がカサカサしているのが気になり、水分が足りないのかもしれないと、ヒルドイドを塗布するようにしたところ、次第に症状が落ち着きはじめました。
冬場でなるべくがっつり保湿して乾燥を防ぎたいとの思いでプロペトを使っていましたが、この場合、根本的な原因が水分不足と血行不良?だったのかもしれません。
あまりにもの治り方の違いに驚いたのと、保湿剤ひとつにしても、原因と薬の役割をしっかり使い分けることで、治療のお薬も適切な効果を発揮できたのだなと実感できた経験でした。
次回予告!
さて、次回からは、プロペトとヒルドイドそれぞれについてもっと詳しく、副作用や塗り方、日焼け対策でよく疑問に思われること、含まれている添加物とその役割などについてもまとめていきたいと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考文献等】- 白色ワセリン添付文書[↩]
- プロペト添付文書[↩]
- 鈴木伸悟著 日経DI編 薬局OTC販売マニュアル[↩]
- ロート製薬: 商品情報サイト (rohto.com)[↩]
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