子どもの風邪にも有効な漢方『小青竜湯』って?【ママ薬剤師】が解説します!

OTC・一般薬
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こんにちは。ママ薬剤師M子です。

漢方薬の証漢方薬の飲ませ方の工夫について別記事でお伝えしましたが、今回は、M子の知見と子供がとても助かった経験のある、「小青竜湯」についてご紹介したいと思います。

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ママ薬剤師M子と子供への小青竜湯の出会い

保育園に行けば、生活や遊びを通じてさまざまな経験を貰うことができますが、M子の子供は、病気ももれなく貰っていました。1,2歳のころが、とくに頻繁に風邪を引いていました。

風邪をひくと発熱や食欲不良、お腹の不具合などが多くありましたが、回復した後も、鼻水だけがなかな治らないことがありました。

鼻水のお薬(西洋薬)は処方してもらえるものの治らず、正直困っていました。

私は薬剤師としてお薬はプロですが、診療とセットとなるとそこは、医師のご意見を最大限ききたいところです!実はこのとき、薬を飲む意味があるのだろうかとまで思っていました。

ママM子
ママM子

薬を飲んでもなかなか鼻水が治らないんですが、このまま使いつづけてもいいですか?

小児医
小児医

お子さんが漢方薬が飲めるようであれば試してみませんか

そこで処方されたのが「小青竜湯」。試してみた結果、何週間単位で困っていた鼻水が、驚くことに数日で治まってきました。

もちろんお子さんによって個人差があり、体質によっても合う合わないがありますので、あくまでも一つの参考にしていただき、少しでも選択の幅を広げていただけると嬉しいです。

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小青竜湯(しょうせいりゅうとう)ってどんなお薬?

小青竜湯の名前は有名ですよね。また、大人でも風邪をひいて鼻水が多いときに処方されることが多いイメージではないでしょうか。実際の効果や、どんな症状の人に使われるかを解説していきます。

◎小青竜湯の効能効果

小青竜湯は、体力「中等度」の人の呼吸器と鼻の症状を中心に、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、気管支炎、風邪症候群の急性期によく使用されます。

M子先生
M子先生

実は小青竜湯は、鼻アレルギー診療ガイドライン2020において、アレルギー性鼻炎に対して、最も高い推奨度の「A(しっかりとした科学根拠が証明されており、用いることが強く勧められている)」を獲得しており、くしゃみ、鼻汁、鼻閉に有効なことが証明されています☆

漢方特有の指針である「証」で解説してみてみますと(参考→M子作成の「証」のブログ記事はコチラ)、体力中等度で、「水毒・陽虚」の体質の方に向いています。これを日常的に使われる表現で言い換えてみると、

鼻水、痰、浮腫みなどで体に水が溜まっているときや、汗をかきづらく寒気がするようなときに、水の巡りを改善して体を温めます。さらに元気を補い、くしゃみや鼻水などの鼻の症状を改善します。

この効果を利用して、添付文書の適応以外にも、臨床的に肺水腫、肺気腫、滲出性中耳炎、百日咳、インフルエンザ、ネフローゼ症候群、関節炎、神経痛、湿疹、蕁麻疹などに用いられることもあります。1

◎小青竜湯の成分について

小青竜湯は麻黄・芍薬・乾姜・甘草・桂枝・細辛・五味子・半夏の、8種類の生薬で構成されています。

配合生薬についての細かい解説はなかなか目にすることがないかもしれないので作ってみました。それぞれのはたらきは以下の通りです。

麻黄

生薬の中で最も強力で身体を温め発汗させます。体の表面の病気(風邪など)を治療し、咳を止め、はれを鎮めます。

芍薬

血の少ない部位に血を集め、痛みを止めます。

乾姜(かんきょう)

胃腸や肺、手足をよく温めて機能を高め、体内の冷えた不要な水分を除きます。

甘草(かんぞう)

ほかの生薬の働きを高めたり、毒性を緩めたりする調和作用があります。気を補う、熱をさます、毒を消す、痛みを止めるなどの効果があります。また、肺を潤して痰を止める効果もあります。

桂皮(けいひ)

冷えを改善し、痛みを止めます。特に、下半身を中心に温めます(漢字で書くと難しいですが、シナモンです。)

細辛(さいしん)

水っぽい痰がでる咳を鎮める効果と、局所麻酔効果で痛みをとめます。

五味子(ごみし)

気の収斂(しゅうれん=引き締める)作用により、口の渇き、汗、下痢などを止めます。

味は酸っぱいです。

半夏(はんげ)

体の湿気を取り除くことで、痰の多い咳、嘔吐やめまい、胸のつかえなどを改善します。

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広く用いられているエキス剤は数多く存在しますが、その中に含まれる成分が重複していることもよくあります(参考にしている漢方薬の出典が異なったりといった理由から、成分の量が異なっていることもあります)。

エキス剤は、成分同士がお互いに影響しあっているところがあるので、成分単独の働きで効果が完全に発揮できているとは言いきれません。

しかし、それぞれの特徴がわかっていると、OTCを選ぶ際に参考になりますし、病院に行けないときなどは、自分の症状と照らし合わせて購入してみることができるかもしれません。

M薬剤師
M薬剤師

注意しなければならないことはありますし、医療従事者に相談した方が安心ではありますが、自分なりに生薬の働きや注意点を知っておくと、最終的にはご自身やご家族の体調観察、ひいては体調管理につながっていくのではないかとも思います。M子はそんな感じで、家族の体調を観察し、お薬を選んだりもしています。

次回は、小青竜湯服用時の注意点と市販薬の選び方についてお伝えできればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました

ママ薬剤師M子

【参考文献等】
  1. 幸井俊高 完全版 医師・薬剤師のための漢方のエッセンス,p434-435[]
  2. 寺澤捷年 症例から学ぶ和漢診療学第3版, p130[]
  3. 田中耕一郎編著 生薬と漢方薬の事典[]

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