小児の体質と漢方の相性ってあるの?経験を基にママ薬剤師が解説!

OTC・一般薬
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ママ薬剤師M子です。今日は、漢方薬と体の相性のような存在である「証」について書いていきたいと思います。(証は、実はもっと詳しい意味がありますが、ここでは省略しています。)

M子は病院、薬局と現場に出てみて、またママの立場で小児科を受診して、漢方薬を活用している医師に数多く出会うことができました。また、M子自身、漢方に救われた経験をしたこともあります(後々記事にしていく予定です)。

また、同じ漢方薬を飲むにしても、小児は大人と体質が異なるため、単純な大きさの差ではなく、特別に注意しなければならないこともあります。

今回は小児(子ども)に焦点を当てて書いてみたいと思います。

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漢方薬と西洋薬の違いって?

漢方薬と普通の薬(西洋薬)はどうちがうの?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。西洋薬は、「西洋医学」で使用されるお薬のことで、現代の日本の医療の中心的なものになっています。

血液や尿から科学的に検査をして病気の原因を分析し「病名」をつけ、その「病名」に対して、「お薬や手術」によって治療を行います。この時に使用される「お薬」のことを、「西洋薬」と言います。

一方、漢方薬は、「東洋医学」で発達した伝統医学であり、1500年以上もの古いの歴史を持ちます。検査データをもとに分析を行う「西洋医学」と異なり、「東洋医学」は、患者さんの体全体のバランスを観察し病態を診ます。その時の病態に対して使用されるお薬が「漢方薬」になります。12

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小児の体質と、小児漢方医学における診断方法

小児の体質は、大人とは異なり、生まれつきの体質や成長過程によって大きく異なります。そのため、小児に漢方薬を服用させる際には、患者のその時態や体質に合った漢方薬を選ぶことが大切です。

M子薬剤師
M子薬剤師

患者の状態(証)を判断することを「弁証」と言います。

「証」って何?

小児の体質は、細かくありますが「証」という、漢方治療を行うための処方を決めるための、漢方独特の物差し(診断基準)のことを言います。今回、①虚実、②寒熱、③陰陽、④表裏の4種類についてご紹介します。

①虚実⇒体力や体格など、病気に対する抵抗力のこと

実:病気に対する身体的・精神的抵抗力が充実している状態
虚:病気に対する身体的・精神的抵抗力が弱っている状態

②寒熱⇒寒がりや暑がりのことを意味する。体温計の温度とは無関係。

寒:悪寒があって新陳代謝が低下した状態
熱:熱感があって暑がり、新陳代謝が更新した状態

③陰陽⇒活動性の意味で用いる。陰は寒証に近く、陽は熱証に近い状態。

陰証と陽証はさまざまな病態で表現されるため、詳しめに記載していきます。

· 陽証

陽気が充実している体質で、元気で活発、体温が高い傾向、食欲旺盛、暑がり、発汗が多い、冷たい水や食事を好む、小便が黄色、唾は普通量、便秘傾向など

陰証

· 陰気が不足している体質で、疲れやすく、食欲不振、体温が低い傾向、発汗が少ない、冷えやすい、温かい食事を好む、小便は清澄、下痢しやすいなど

一般的に、小児は陽証であることが多いです。これは、小児は活発でよく動き回り、呼吸・心拍が多くよく食べること、よく発熱するがすぐに解熱することなどを指します。このため、小児の疾患には体を冷やす寒涼性の薬を使うことが多いですが、体質やその時の疾患によっては、体を温める温熱性の薬を使うこともあります。

また、小児は、呼吸器、消化器とは未熟なことが多く、陰が常に不足しているため脱水にもなりやすい体質と言われています。3 脱水に関連して、小児は大人よりも全体重に占める水分が多いため、水の飲みすぎでは体に水が溜まりすぎたり(水毒)、逆に汗をかきすぎすると脱水が起きやすくなるため、大人よりも十分に注意が必要です。

一般に老齢期は陰虚証、小児期は陽実証と言われ、対極的な存在として扱われます。

表裏⇒体の部位を指すもの+病気と闘う反応の形式の、2つの側面をもつ

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小児の体質と漢方の相性

小児では、上でまとめたような、証による診断方法などを用いて、その時の体質に応じて、体のバランスを整えるための漢方薬が選択されます。

小児においては、かぜ症候群、気管支炎、気管支喘息・アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患、夜泣き、夜尿症、嘔吐症など、多くの疾患に対して漢方薬が適応となっています。

ママM子
ママM子

M子の感覚ですが、患者さんのお話を伺っていると、小児科の先生の多くは、現実的には証というよりは、単純に症状(鼻水など)で処方されていることも多いような気がします・・・

小青竜湯、小建中湯、五苓散、抑肝散などは、証を考慮しなくても効果のある処方と言われています 5

次回は、小児に漢方を服用してもらう時の注意点を書いていきたいと思います。続きもお楽しみに!

こちらに書きました!

最後までお読みいただきありがとうございます。

ママ薬剤師 M子

【参考文献等】
  1. 頼健守(2022) [図解 世界一やさしい東洋医学] p.26-29. []
  2. 田中耕一郎(2021) [生薬と漢方薬の事典 ] p.10-11. []
  3. 水谷修紀/監,土井庄三郎/編 [年齢・体重ですぐわかる!小児の治療薬の選び方と使い方 ] p.308-309.[]
  4. 寺澤捷年[症例から学ぶ和漢診療学 第3版 p117][]
  5. 広瀬滋之 [小児科領域と漢方医学 ラジオNIKKKEI医学番組 領域別入門漢方医学シリーズ  ] p2-3.[]

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