妊娠・授乳中の抗ヒスタミン薬の不安を解消!【ママ薬剤師M子】

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こんにちは。ママ薬剤師M子です。今回は妊娠・授乳中の抗ヒスタミン薬の使い方について、花粉症やアレルギー性鼻炎、肌トラブルで悩む妊婦さんや授乳中のママ向けに、M子の経験を交えてお伝えしたいと思います。

せき込むM子
せき込むM子

妊娠前までアレルギーとは無関係だったM子も、肌がかゆくなったり、鼻水が出やすくなった経験があります。妊娠を経験するとこんなにも肌の状態が変わることがあるんだとびっくりしていました。

M子は今回ご紹介する西洋薬までの服用はありませんでしたが、漢方薬と塗り薬(別記事作成する予定です)の抗ヒスタミン薬を利用しました。ただ、症状や既往は人それぞれなので、今回ご紹介する内容を参考に医師とご相談いただければと思います。

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妊娠中のアレルギー症状と薬の使用

まずは、妊娠中に抗ヒスタミン薬を使っていいの?という部分から書いていきたいと思います。

冒頭触れましたが、私自身も妊娠中に肌の痒みや湿疹に悩まされた経験があります。その時に、多くの妊婦さんも同じことを考えるかもしれませんが、「今このタイミングで、今まで飲んでいた(縫っていた)薬or新しい薬を飲むことは大丈夫なのか?」という不安や疑問が出てきました。

そもそも、妊娠中は抗ヒスタミン薬の使用を控えるべきなの?

まずはよく使われるガイドラインからの抜粋ですが、以下の通りです。

「妊娠中は胎児に与える影響を考え、治療は慎重でなければならず、妊娠4ヶ月の半ばまでは、原則として薬物を用いることは避けた方が安全である。」

アレルギー総合ガイドライン2022

これは、特に妊娠初期は胎児の器官形成期にあたるため、薬の影響を受けやすい時期のためです。

妊娠による胎児への影響は、妊娠時期によって3つにわけて考えられます

妊娠は約10か月にも及ぶ長期間で日々日々おなかの子どもが大きくなっていくわけですが、主にお薬のタイミングで3つにわけられます。1

妊娠中の大きな時期の分け方
  • 超初期
    受精からおよそ2週間(全か無かの時期/ALL or NONE)

    大きな損傷では流産となるが、小さな損傷では修復されて正常の発生が継続される時期

  • 初期~中期
    妊娠4週(妊娠2ヶ月)-11週(妊娠3ヶ月最終週)

    重要臓器が形成される時期で、もっとも薬の影響をうけやすい時期。

  • 中期以降
    妊娠中期(妊娠4ヶ月半ば)以降

    構造的な先天異常の心配はなくなるが、薬剤の胎盤移行により生ずる胎児毒性という観点からの配慮がとくに必要な時期。

    胎児毒性に影響しやすいお薬の例:ロキソプロフェン、ACE阻害薬、ARBなど

時期は3つにわかれますが、実際には、妊娠時期と妊婦さん、胎児の状態を診ながらお薬の必要性を検討し、お薬を使うかどうかも含めて検討されます。

妊娠中のアレルギー対策の基本

薬剤師としても、妊婦時代のM子を振り返っても、お薬ブログではありますが、妊娠中に関してはまずは薬に頼らない方法を試してみることをお勧めします

  • 温熱療法(蒸しタオルや入浴など)・・・とくに鼻閉症状に有効
  • マスクや眼鏡などの着用
  • 室内の清掃と花粉対策(帰宅時洋服や頭について花粉を払う、うがいや手洗い、花粉が多い日は外出を避ける、布団を干さずに布団乾燥機などを活用するなど)
  • 環境整備(加湿器の使用)など

おそらく、すでにアレルギー症状をお持ちの方は行ったことの多い対策かもしれませんが、妊娠をきっかけに急にアレルギー反応が出てきた方には、これらの対策(これに限られませんが)をまずとってみることをお勧めします。

薬が必要な場合の選択肢

そして、対策をとっても難しい、仕事の都合上そんなこと言っていられないなど、どうしても症状が辛い場合、母胎の体調そもそもが悪化してしまうことは好ましくないため、医師と相談の上で抗ヒスタミン薬の処方が検討されることがあります。

ただ、この際にも、飲み薬や注射のお薬よりは外用のお薬、新しいお薬よりは妊婦への使用経験が豊富なものを選択するなど安全を優性されることが多いです。

  1. 局所用薬(最優先):点鼻薬・点眼薬・外用薬                    
    • 点鼻薬:クロモグリク酸(インタール)点鼻液
    • 点眼液:ケトチフェン(ザジテン)、レボカバスチン(リボスチン)点眼液、
    • 外用薬:エメダスチンフマル酸塩(アレサガテープ)など
  2. 内服薬(局所用薬が効かなかった場合):抗ヒスタミン薬の中でも安全性の確立されたもの(後ほど紹介します)を使用します。
M薬剤師
M薬剤師

局所薬から利用する理由は、名前の通り「原則として」鼻・目・皮膚などの局所に集中して作用し、ほかの部位への影響が内服に比べると低いことが挙げられます。完全に他に影響が無いかと言われるとそうとは限りませんが、経験則上安全なものをまずは試していくことが多いです。

妊娠中の抗ヒスタミン薬の選び方

妊娠中・授乳中のお薬の使用に関しては、添付文書や各種ガイドラインなどを参考に、特に患者さん個々の状態やお薬の必要性とリスクを検討して選択し、必要最小限の期間で使用されることが、ほとんどです。

そのため、妊婦さんの状態と医師の判断によるものが大きいので断定はできませんが、妊娠中でも安全性が高いとされている抗ヒスタミン薬の一部をお伝えしておきます。

■妊娠中に主に使われることの多い、第1世代抗ヒスタミン薬

  • ジフェンヒドラミン(レスタミンコーワ)
  • クレマスチン(タベジール)
  • d-クロルフェニラミン(ポララミン)
  • シプロヘプタジン(ペリアクチン)

とくにd-クロルフェニラミンに関しては、国内外合わせての使用経験から安全性が評価されており、常用量を1週間程度の使用であれば、安全だと考えられています。

妊娠中に主に使われることの多い、第2世代抗ヒスタミン薬

  • セチリジン(ジルテック)
  • レボセチリジン(ザイザル)
  • ロラタジン(クラリチン)

2

M薬剤師
M薬剤師

ポララミンの成分を含んだお薬は実はOTCとして、ドラッグストアなどでも購入が可能です。しかし、妊娠中は日々体が変化しているため、お薬の必要性を見極めるためにも、面倒でも辛くても安全のため、必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。

産婦人科での受診が一番ですが、耳鼻科などでも妊産婦の影響を把握して処方してもらえる病院はありますので、事前に電話するなどして受診可能かを聞いてみるのも一つの受診の方法だと思います。

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授乳中のアレルギー症状と薬の使用

授乳中も基本的に薬は控えめにという考えは同じですが、妊娠中とは少し状況が異なります。

妊娠中は催奇形性や胎児毒性の影響を一番に考え、授乳中は薬剤の母乳中への移行がキーポイントになります。

患者さんへのお薬処方に関する薬剤師の悩み(授乳中)

添付文書は、お薬の説明書で一般の方にも公開されていますが、難しく書いてあるのでほとんどは薬局関係者しか読まないと思います。

また、添付文書は改版がなければお薬が発売された時のままの状態がキープされます。禁忌という欄がありますが、妊娠、授乳中の方には積極的に治験は行われないため「妊娠、授乳中には投与を行わないこと」という表記があふれています。

しかしながら、日本での治験ではなくとも、論文や海外事例などから妊産婦の方には影響がほぼ無い、または授乳児への影響がとても少ないことが分かっているものあります。ここからは、薬剤師の日々の勉強範囲ですが、添付文書に禁忌とされているから処方できないではなく、日々の情報をアップデートしながら、患者さんのケアに努めていきたいと常々心がけています。

授乳中の薬の注意点と特徴

前置きが長くなりましたが、授乳中のお薬の注意点と主な特徴について以下3点まとめました。

  • 母乳への移行量は薬によって異なる
  • 授乳終了後に薬を服用し、次の授乳までの間隔を空けると赤ちゃんへの影響が少なくなる
  • 眠気の強い第一世代抗ヒスタミン薬は赤ちゃんに眠気や興奮を引き起こす可能性がある
M子先生
M子先生

母乳はママの血液から作られるので、薬剤の影響は否定できませんが、それが完全に乳児に影響があるかと言われると、未解明なお薬も多いです。経験則や論文などで明らかになってきたものは、ママの体調改善を第一として必要であれば使っていけるものを探っていきたいですね。

授乳中に比較的安全とされる抗ヒスタミン薬

妊娠中の抗ヒスタミン薬でもあげましたが、授乳中でも比較的安全とされる抗ヒスタミン薬が妊娠中よりは多くあります。

  • 第1世代抗ヒスタミン薬は中枢移行から眠気が出やく赤ちゃんへの影響が懸念されることから、第2世代抗ヒスタミン薬が選択されることが多いです

第1世代

  • ジフェンヒドラミン(レスタミンコーワ)
  • d-クロルフェニラミン(ポララミン)
  • シプロヘプタジン(ペリアクチン)
  • 第2世代
    • フェキソフェナジン(アレグラ)
    • フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン(ディレグラ)
    • セチリジン(ジルテック)
    • レボセチリジン(ザイザル)
    • ロラタジン(クラリチン)
    • デスロラタジン(デザレックス)
      などが安全性が高いと評価されています。3
説明するM子
説明するM子

妊娠中から使えるお薬は太字にしています

  • ただし、個人差があるため、妊娠中と同様、医師・薬剤師に相談することが大切です。

薬を使わない工夫も大切

受診してお薬にお世話になる前に、これらのことを実践するだけでも、症状によってはアレルギー症状を大幅に和らげることができます。ぜひ実践してみてください!

  • こまめな水分補給
  • 鼻腔洗浄
  • アレルゲン対策(布団や枕カバーの交換、こまめな掃除)
  • 食事でアレルギー症状を悪化させる食品を控える  

まとめ:妊娠・授乳中のお薬の安全な使い方!

妊娠初期(4ヶ月半ばまで)は原則薬物治療を避ける

まずは薬に頼らない対策を試みることが基本

妊娠中に使用する場合は局所薬(点鼻薬など)が優先される

妊婦さんに使用される抗ヒスタミン薬は、様々な情報をもとに状態をみながら選択される(誰かが言ったからそれを使える、効果があるというものではない)

かかりつけ医と薬剤師に正直に状況を伝える

アレルギー症状は辛いものですが、適切な対処法と医師の指導があれば、妊娠中・授乳中も安心して過ごすことができます。また、今回安全なお薬の例に挙げなかったお薬でも、必要性を考慮して処方されることがあります。一人で悩まず、心配なときには専門家に相談してくださいね。

何か質問があれば、コメント欄でお待ちしています。どなたかのお役に立ちますように。

最後までお読みいただきありがとうございました。健やかな毎日をお過ごしください!

ママ薬剤師M子

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【参考文献等】
  1. 公益社団法人 日本産婦人科医会[]
  2. 薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂第3版[]
  3. 薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂第3版[]

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