こんにちは、ママ薬剤師M子です。今回は、風邪薬と胃薬にまつわる抗ヒスタミン薬の体験談についてお伝えしたいと思います。知らないと、これは副作用と思わないかもしれない事象をM子の経験から追加でお伝えしたいと思います。

「風邪薬を飲んだら子どもが妙に眠そう…」 「学校の試験前に風邪を引いて薬を飲んだら、頭がボーっとして勉強にならない…」こんな経験がM子自身もありましたので、今回記事にしました。
抗ヒスタミン薬と風邪薬の関係
抗ヒスタミン薬の風邪薬、特に「総合感冒薬」と呼ばれるタイプには、複数の成分が配合されています。その中でも眠気の主な原因となるのが「抗ヒスタミン薬」です。
この成分は、鼻水はくしゃみなどのアレルギー症状を改善する効果がある一方で、脳内に入り込みやすく、中枢神経に作用して眠気を引き起こすことがあります。さらに、眠気だけでなく「インペアードパフォーマンス」と呼ばれる状態も引き起こすこともあります。
M子の高校生時代の体験談
M子が服用した風邪薬で・・・
M子が高校生時代、試験前の徹夜勉強で体調を崩し、病院で「PL配合顆粒」という風邪薬が処方されました。服用後、学校で感じたのは単なる眠気ではなく、「頭がうまく働かない」「暗記ができない」「集中できない」などもやもやとした状態でした。
PL配合顆粒の主な成分
ここで、PL配合顆粒の主な成分を見ていきたいと思います。
サリチルアミド
アセトアミノフェン
無水カフェイン
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(第1世代抗ヒスタミン薬)
M子が経験した「もやもやした状態」は、この第1世代抗ヒスタミン薬による「インペアードパフォーマンス」だったと思われます。
勉強がはかどらないだけでなく、自転車通学であったにも関わらず注意力も散漫になっていたので、今思い返すと事故の危険もあったのではと怖く思ってしまいます。
M子の場合は、医師に相談し、薬の量を半分に減らすことで症状が改善しました。

PL顆粒は、いわゆる「総合感冒薬(感冒=風邪)」と言われる、風邪の諸症状をまんべんなく緩和することを目的としている、かなり昔からあるお薬です。
最近の風邪の治療においては、鼻水に対して第1世代抗ヒスタミン薬が処方されるケースは減ってきましたが、市販薬にはまだ多く含まれています。(PL顆粒もOTCとしてドラッグストアで販売されています)購入時、不安な時は必ず薬剤師に相談しましょう。
高齢者の眠気と胃薬の意外な関係
M子が大学病院勤務時代に、風邪薬だけでなく意外な薬が眠気を催したことがありました。
大学病院に勤務しているときに、ある高齢の入院患者さんが「この頃、日中眠くて仕方ない。歳なのかなぁ」と雑談の中で話していることが気になりました。
高齢ということで、入院することにより活動量が減り、認知機能が低下してしまうことは残念ながらありますが、この方の場合、入院後数日であり、認知機能の低下までは考えにくく、他の可能性を考えました。
実は原因として有力だったのが、胃薬の「ガスター」(ファモチジン)。これはヒスタミンH2受容体拮抗薬と呼ばれる胃酸分泌を抑える薬ですが、脳へ移行することで眠気やせん妄などの副作用を引き起こすことがあるのです。

ヒスタミンは、H1・H2・H3・H4の受容体がありますが、鼻炎などに使われる抗ヒスタミン薬はH1受容体をブロックして、ヒスタミンの働きを抑えます。
H2受容体が関与するガスターは直接H1受容体をブロックするわけではありませんが、ヒスタミンの作用が全体として脳に影響を及ぼし、眠気を感じることがあります。
H1・H2受容体は作用が異なるにもかかわらず、ガスターがH2受容体をブロックすることで、ヒスタミンの影響が脳に作用し、睡眠に影響をがある可能性があります。
そのため、医師へ、「ガスターで眠気が出現している可能性は否定できず、服用を継続することで転倒のリスクが懸念される。」ということをお伝えしました。その結果、眠気などの鎮静の程度に注意して診ていくことと、胃薬の使用期間も必要最小限または他の胃薬への変更も視野に入れることとなりました。
特に高齢者は、加齢によりお薬が体から出るまでに時間がかかりやすく、薬の副作用が出やすい傾向があります。「年齢のせいでぼーっとしているのだろう」と片付けずに、服用している薬との関連を考慮することも大切であるということを、この経験を通してしみじみと感じました。
こんな時は薬剤師・医師に相談を
以下のような場合は、遠慮なく薬剤師や医師に相談しましょう
- 風邪薬を飲んだ後、お子さんの様子がいつもと違う
- 薬を飲んで眠気が強く出る、または集中力が著しく低下する
- 学校の試験前など、集中力が必要な時期に風邪を引いたので配慮が必要
- 今までの記載と同じ、薬の副作用かもしれないという症状が続いている
熱、鼻水、咳など風邪の諸症状に対する薬には多くの選択肢があります。眠気の少ない抗ヒスタミン薬や、症状に合わせた別の薬への変更も可能です。
まとめ:抗ヒスタミン薬と風邪薬などとの上手な付き合い方
一般的な風邪薬や市販薬でも、副作用が生じる可能性はあります。特に「眠気」や「集中力低下」は、お子さんの学校生活やパパ・ママの仕事、運転などに大きく影響します。
「アレルギー薬は眠くなるのが当たり前」と諦める必要はありません。現在は眠気の少ない抗ヒスタミン薬も多く開発されています。ただし注意が必要なのは、すぐに手に入れることがあるOTCでも、強い眠気や注意力の低下などの副作用が起こる可能性はあるということです。
それは、風邪薬でも関係なさそうな胃薬等でも、です。
薬との上手な付き合い方は、効果だけでなく副作用も理解し、辛い症状があれば早めに相談することです。お子さんの様子をよく観察し、気になることがあれば医師や薬剤師に相談してみてください。
このブログが少しでもお役に立てれば幸いです。

風邪薬の副作用は個人差が大きいです。「みんなが使っているから大丈夫」ではなく、ご自身やお子さんの体調変化に敏感になることが大切です。不安なことは、いつでもかかりつけ薬剤師にご相談ください。どなたかの薬に立ちますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ママ薬剤師M子



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