ステロイド塗り薬の基礎知識についてまとめてみました【ママ薬剤師M子作成】

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こんにちは、ママ薬剤師M子です。今回はステロイド塗り薬の基礎知識ということで記事を作成しています。

「ステロイド」という言葉、みなさんも聞いたことがあると思います。でも「怖そう…」「副作用が心配…」という声もよく耳にします。実は私も、子育て中にステロイド軟膏を使うとき、ママとしてためらうことがあります。ほかのママさんの中にもそのような方がいらっしゃるかもしれません。

今回は、そんな不安を少しでも解消できるよう、ステロイド塗り薬についての基礎知識をお伝えしていきます。吸入やテープ、内服などはまた基準が異なるので、今回は記載しませんが、リクエストがあれば別途作りたいと思います。

M薬剤師
M薬剤師

何回かに分けて、子どもに多いステロイドの塗り薬に焦点をあてて解説していきますね。

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ステロイドの基礎知識:ステロイドってどんなお薬?

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ステロイドは、実は私たちの体の中でも作られているホルモンの一種なんです。正しく言うと、ステロイドとは、人体の臓器の一つである副腎から作られる副腎皮質ホルモンの一つです。

このステロイドホルモンをお薬として使用する場合の2つの主な作用としては、炎症を抑えると作用と、免疫を抑える作用があります。この作用を利用して、飲み薬、注射薬、塗り薬、眼薬、吸入薬、坐薬などの様々なお薬のタイプが活躍しています。

適応される病気はとても多く、全身性疾患(膠原病など)や局所性に炎症をきたす疾患(関節の炎症、喘息や間質性肺炎、ネフローゼ症候群、自己免疫性疾患など)、病態改善(癌の末期、脳浮腫、移植医療など)などの重症度の高いものから、喘息や子どもの肌荒れにまで幅広く使用されています。

ステロイド塗り薬の効果を簡単にまとめると、以下の3点です。

  • 炎症を抑える
  • 赤みやかゆみを和らげる
  • アレルギー反応を抑える
ママM子
ママM子

体の中で作られる大切な物質を、お薬として上手に活用していますね。幅広すぎるので今回含めて次回以降子どもによく使われる塗り薬について説明していきたいと思います。

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ステロイドの基礎知識:ステロイド軟膏の強さのランクを知ろう

ステロイドの基礎知識として、ステロイドがどんな効果をもっていて病気に使われるのかを書きましたが、面白い?ことに、ステロイドにはランクという概念があります。

日本でのステロイドランクと成分の例
  • ストロンゲスト(Ⅰ群:Strongest:最も強い)
    • クロベダゾールプロピオン酸エステル【デルモベート】
    • ジフロラゾン酢酸エステル【ダイアコート】
  • ベリーストロング(Ⅱ群Very Strong:非常に強い)
    • モメタゾンフランカルボン酸エステル【フルメタ】
    • フルオシノニド【トプシム】
    • ベダメタゾンジプロピオン酸エステル【リンデロンDP】
    • ジフレプレドナート【マイザー】
    • アムシノニド【ビスダーム】
    • 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン【パンデル】
  • ストロング(Ⅲ群Strong:強い)
    • デプロドンプロピオン酸エステル【エクラー】
    • プロピオン酸デキソメタゾン【メサデルム】
    • ハルシノニド【アドコルチン】
    • ベタメダゾン吉草酸エステル【べトネベート、リンデロンV】
    • フルオシノロンアセトニド【フルコート】
  • ミディアム(Ⅳ群:Medium:おだやか)
    • 吉草酸酢酸プレドニゾロン【リドメックス】
    • トリアムシノロンアセトニド【レダコート】
    • アルクロメダゾンプロピオン酸エステル【アルメタ】
    • クロベタゾン酢酸エステル【ロコイド】
    • デキソメタゾン【グリメサゾン、オイラゾン】
  • ウィーク(Ⅴ群Weak:弱い)
    • プレドニゾロン【プレドニゾロン】

引用:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024
(https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2024.pdf)

【】内は主な製品名

この基準は何で決めているの?

強い、とか、弱いとか、めちゃくちゃ強いとか言われると、何と比較してというのは気になりませんか?

基準として、もともと、ストロング(Ⅲ群)に相当するベタメタゾン吉草酸エステル(商品名:リンデロンV)との効果の比較が行われ、それを元に日本皮膚科学会が「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に掲載しているものです。 

ただし、同じランクでも、塗布する部位によって吸収のされやすさは異なるため、あるステロイドのランクのお薬が、どの部位にも同じ効果を示すとは言い切れませんので部位やお薬の形状により医師が選択を行います。 

M薬剤師
M薬剤師

日本では、このランクは、ステロイド成分が単独で強いというわけではなく、製品の効果についての強さ(効きの強さ)について分けられています。

Strong→Very Strong→Strongestと最後だけ最上級なのに、Very Strongが「Stronger」と比較級にならなかったのは、Strongよりも強力だよ!ということ断言したかったのでしょうか。ここはM子も謎です・・・

ちなみに、海外でも分け方は同じなの?

さきほどの、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024にも記載がありますが、2023年6月現在で、アメリカではランクが7つ!(very high potency, high potency , medium potency, lower-medium potency, low potency, lowest potency)、ヨーロッパでは4つのランク(very potent, potent, moderate potency, mid potency)と分かれています。アメリカやヨーロッパでは、[potency=効力]としていることから、製品の効果の高さを表していることが分かりますね

ステロイドの基礎知識:体の部位ごとにステロイドの吸収率が違う

ステロイド塗り薬は、塗る場所によっても吸収率が異なるので、炎症発生部位ごとに先生が判断してお薬を決めます。なので、「ミディアムだからそんなに気にしなくていい」という訳ではないのです。

下に論文から絵を引用しました。これは、前腕全面(腕の内側)へステロイド塗り薬を塗ったときのステロイドの吸収率を部位ごとに表した図になります。

同じ顔にステロイドを塗ったとしても、額(おでこ)の部分と、顎(あご)では吸収率が2倍以上異なります。なので、おでこに炎症が発生したときと、顎に炎症が発生したとき(アトピーなど)では症状が同じでも違うお薬がでる可能性があります

ママ
ママ

子どもにもらったステロイドを別の部位に使っても大丈夫?

困ったM子
困ったM子

お薬は診察毎に処方が変わることもありますので、お子さんにあったものを医師に処方してもらってくださいね。塗る場所によっては、以前は影響なかったのに、別の部位では影響がでる可能性もあります。

引用:5.ステロイド外用薬の使い方 : コツと落とし穴(V.アレルギー疾患におけるステロイドの使い方,専門医のためのアレルギー学講座、古江 増隆、アレルギー58巻)1

主なステロイド吸収率の大きいところは以下がポイントです。
・吸収されやすい:陰嚢、顔、わきの下
・吸収されにくい:手のひら、足

部位以外にも、乳幼児や年配の方、乾燥や炎症を起こしている皮膚など年齢や症状によっても異なりますが参考までにまとめています。

※M子、家事をしているとよく手の指に湿疹ができますが、これが強いステロイドをもらっていますがとても治りにくいです・・・吸収率を見ると納得できました。根気強く続けることにします汗

この記事のまとめ

ステロイド塗り薬の基礎知識として、最低限知っておいていただきたいことを今回まとめました。

  • ステロイドは色々なランクがあって、症状や部位によって異なるステロイドが使い分けられる
  • ランクが高いから危険なステロイドという訳ではなく、ランクは(臨床での)効果の高さで示されている
  • ステロイド塗り薬の全身性の副作用は、ステロイドのランク、塗布量、塗布期間などに依存すると言われてい

などをお伝えしました。

次回は、ステロイド塗り薬の中でも基準となっている「リンデロン」について書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

どなたかの役に立ちますように。 ママ薬剤師M子

【参考文献等】
  1. 5.ステロイド外用薬の使い方 : コツと落とし穴(V.アレルギー疾患におけるステロイドの使い方,専門医のためのアレルギー学講座)[]

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