こんにちは。ママ薬剤師M子です。
今回は前回の小青竜湯に引き続き、評判がよかったため漢方シリーズとして「麦門冬湯」について書いていきたいと思います。
漢方の効き方には個人差があり、体質によって合う合わないがありますので、あくまでも一つの参考にしていただけると嬉しいです。今回の麦門冬湯は、子供さんと大人の方両方の参考になれるかなと思っています。
ママ薬剤師M子と麦門冬湯についての経験
風邪を引いた後に残って困るものと言えば・・・M子家はまさに、「鼻水」と「咳」です。
とくに「咳」に関しては、M子家においては、どちらかというと、子供ももちろんつらいのですが、風邪をもらった親の方が最終的には苦しむことが多いですね・・・。
親はいつも元気でいたいものですが、M子はよく、つらい咳のせいで元気が振り絞れない時があります。そこでよくお世話になっているのが、今回ご紹介する「麦門冬湯」です。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)とは?
では早速、麦門冬湯について説明していきますね。
麦門冬湯の効果効能について
上の内容を絵にするとこんな感じです。
どのくらいで効果がでるの?
お薬を飲んだら気になる、「どれくらいで効果がでるの?」についてですが、製薬会社が出しているレポートによると、
M子やM子の子供が、風邪を引いた後、咳が長引くときに処方されることがあります。麦門冬湯を飲むと、たしかに数日で楽になることが多いので助かります。
ただし、東洋医学的な渇きがない場合には、逆に悪化してしまう場合もあります。(麦門冬湯で潤しすぎてしまうため)
また、気管支喘息など、症状によっては効くまでに月単位の日数がかかることもあるようなので、その場合はすぐに効果がなくても、逆に体調が悪くならなければ、諦めずに飲み続けることも必要かもしれません!
麦門冬湯の成分について
効果効能を説明したところで、今度はその成分について解説したいと思います。
麦門冬湯は麦門冬・半夏・大棗・甘草・人参・こう米の、6種類の生薬で構成されています。
配合生薬はどんなものがあるの?
成分 | 効果 |
---|---|
麦門冬 | のどの乾燥感やせきなどを鎮めるときに、肺をうるおして熱をさましながら、渇いたせきを止める。食欲はあるのに消化できないとき(胃陰虚)や、乾いた硬い便の便秘にも効果がある。精神的に落ち着きを与え、不眠や動悸、ほてりなどを改善する作用もある。 |
半夏 | 体の湿気を取り除くことで、痰の多い咳、嘔吐やめまい、胸のつかえなどを改善する |
大棗 | 食材でいうと「なつめ」。甘みがあり、漢方薬の味をととのえる働きや、たかぶった気持ちを緩める作用(精神安定作用)がある |
甘草 | ほかの生薬の働きをたかめたり、毒性を緩めたりする調和作用がある。 気を補う、熱をさます、解毒、痛みを止める、肺をうるおし痰を止める。 |
人参 | 気を補う作用のある生薬として重要な役割を担っている。疲労倦怠、病後の回復を高める、全身の機能低下を改善する、胃腸虚弱などの体質改善、精神安定作用などがある。 |
こう米 | 主食として食べている、うるち米の玄米が基になっている、お粥のような生薬。気を補い、消化力を助け、胃を守る。渇きを止める作用がある。虚弱な小児のかぜなどにも用いられる。 |
処方される麦門冬湯の多くは「エキス剤」と呼ばれるものです。エキス剤を複数飲むことになった場合に、含まれる成分が重複することがあります。
麦門冬湯でいうと、甘草という成分です。これは、多くの他の漢方薬にも含まれているため、飲み合わせの注意が必要です
今回のM子のまとめ
麦門冬湯のうれしいところは、飲んで体質や症状に合致したら、数日で効果が出ることがあるところです。漢方薬は、効き始めるまでに時間がかかるとはよく言われていますからね。
子供の育児中は、ママ自身の体調は後回しになってしまってしまうこと、多いですよね。また、授乳、看病などで睡眠不足が重なると、どうしても精神不安定にながちです。イライラしてしまい、そんな自分が情けなくなることもあります。
そのような時、(あくまでもM子にとってはですが)、麦門冬湯は単なる咳止めではなく、なんだか気持ちも落ち着かせてくれる存在です。
味も、甘草と大棗が相まってほどよく甘く飲みやすくて風味も好きです。(※効き方や感じ方には個人差があります)
気持ちを落ち着かせてくれるのは、おそらく麦門冬、半夏、大棗、人参など、気分を和らげる作用のある生薬が多く配合されており、元気を補ってくれるおかげなのかな?とM子は思っています。
ただし、咳には乾性(のどが乾燥し、痰が切れにくい)、湿性(水っぽい痰が絡む)などの種類があり
ます。麦門冬湯は湿性には効果がないどころが、逆に痰を増やして悪化してしまうこともありますので、迷った場合には、医師や薬剤師に相談してみてください。
次回は、子どもへの麦門冬湯の飲ませ方について書いていければと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ママ薬剤師M子
【参考文献等】- 麦門冬湯添付文書))((田中耕一郎.生薬と漢方薬の事典.日本文芸社.2020[↩]
- 咳嗽に関するガイドライン第2版[↩]
- 麦門冬湯 インタビューフォームPDF[↩]
- 寺澤捷年.症例から学ぶ和漢診療学第3版.p130[↩]
- 田中耕一郎編著.生薬と漢方薬の事典[↩]
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